愛を唄う ページ41
「俺も、すごい好き」
離れた唇でそう答えるとAが恥ずかしそうに、でも、嬉しそうに笑って。
もう一度触れるだけのキス、頰にもキスをして、耳たぶと首筋にもキス。
この先の手順なんてよくわからなくて、初めてだから上手くできるかわからないけど、ただ夢中で愛おしく思う気持ちをぶつけるように、触れて撫でて、舐めて。
上手な愛の確かめ合い方なんて、きっとこれからふたりで見つけていけばいい。
一枚、また一枚とAの部屋着を脱がしていく。
時折、恥ずかしそうに身体を隠す仕草さえも可愛く思えて、その度に彼女肌にキスをした。
Aの匂いの甘さに興奮して鎖骨に甘く噛み付いてから、バサリと乱暴に自分の服を脱いだ。
「あ…」
「…どうしたの?祐希くん?」
「俺、部活の後シャワー浴びてない…」
一応、汗はよく拭いたし、制汗シートも使ったけど…。
臭くないかな?とAに聞くと、彼女は形の良い鼻を俺の胸元に寄せて。
「…ん、大丈夫。祐希くんの匂いしかしない」
その仕草とその言葉に胸がきゅんと詰まって、ああ、やばい、と思った時にはもうAをベッドに押し付けるようにして唇を奪っていた。
待って、待って、と彼女の細い腕が俺を押して、○んだ瞳で睨むようにして、びっくりした、と唇を尖らせる。
「…ごめん、なんか、可愛くて」
「…こうしてるだけでも恥ずかしいのに…。祐希くんのせいで、壊れそうなくらい心臓が鳴ってる」
「そんなの、俺だってそうだよ」
これ、Aのせいだよ、と左胸に彼女の手のひらを当てた。
優しくしなきゃ、となけなしの理性と戦いながら、こんなにも愛おしい人を抱くんだから。
温もりを確かめるように肌を合わせる。
自分とは違う、柔らかな肌の触感が心地良くて、もうそれだけでも気持ちいい。
んっ、と鼻から抜けるような甘い声が聞こえると、心の一番柔らかいところをぎゅっと掴まれたみたいに胸が痛んで、もっと、もっと、と彼女を求める。
「や、んっ、祐希く、ん」
「A、A…」
電気消して、と途切れ途切れに言う彼女の訴えを、嫌だ、と一蹴。
全部見ていたいし、全部覚えていたいから。
戸惑いながら鳴く声も、泣きそうに感じる顔も、柔らかで滑らかな触り心地の肌も、髪の匂いも、舐め上げた涙の味も。
五感全部でAを感じて、ひとつ残らず覚えていたい。
ねえ、それくらい、Aの事が好きなんだよ。
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ユイ(プロフ) - 初めまして、読んでいくうちに続きが読みたくなりました。新しいHPを教えてください。 (10月19日 21時) (レス) id: 30678c49ef (このIDを非表示/違反報告)
Yuri(プロフ) - はじめまして。以前から読ませてもらって、また最初から読み直しました。新しいホームページは消してしまったのでしょうか?? (2018年6月30日 20時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 初めてコメントします。この作品ずっと読んでます。宜しければ新しいHPを教えてください( ; ; ) (2017年6月20日 9時) (レス) id: 43856cab70 (このIDを非表示/違反報告)
yukim8216(プロフ) - こんにちは。新しいHP教えて頂けますでしょうか?『ナノ』でそこからトップページからログインしてからどうすれば見れるのか分からなくて。前はそのHPで見てのてすが。ごんなさい、教えて頂けますでしょうか (2017年5月6日 7時) (レス) id: 343ef2b4f0 (このIDを非表示/違反報告)
RON(プロフ) - nattuさん» ありがとうございます。新しいHPで加筆修正したお話をアップしています。ぜひお越しください^_^ (2017年3月10日 14時) (レス) id: bdef7d3ec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RON | 作成日時:2016年7月27日 22時