君とはじめる内緒の恋 ページ34
教室でわざわざ私の席に来て、挨拶を交わす彼はもういない。
朝、教室に入って来るとすぐ私を見つけて、一瞬だけ目を合わせる。
そして、誰にもわからないように唇の両端を上げてそっと笑う。
廊下ですれ違う時も、視線は絡まぬままで、だけど、すれ違うその一瞬、意図的に触れ合わせる肩や小指。
"石川くん"と"Aさん"に戻った距離。
ふたりって別れたの？と誰かに聞かれれば、曖昧に微笑んで答えを濁す。
そうしていると、数日で私たちは、あのふたり別れたんだね、と周りから認知されるようになっていた。
「ねえねえ、石川、またアドレス聞かれてたらしいね、今度は１年生の女子に」
昼休み、そういう話が好きなクラスメイトが数人、嬉々として私の席に来てそう言った。
悪い人たちではないのだけど、ここ数日何かと聞き出そうという素振りが、ちょっと面倒に感じていた。
それでも、なに食わぬ顔を貼り付けて、そうなんだ、と答える。
「えー、別れたらもう興味ないの？」
「そん、なことは、ないけど…」
「なんかね、石川、そういうの全部断ってるんだって」
知ってるよ、と思いつつも、へえ、とわざわざ驚いた表情を作ってみせる。
「そう言えば、Aちゃんも、この前サッカー部の子に呼び出されてたけど、どうした？付き合った？」
「いや、その…」
「付き合わなかったの？」
「うん、でも、そういうのは今はいいかなって」
「ね、もしかしてまだ石川のことが好きとか！？」
「そんなんじゃないよ」
えー、なんだ、そっかー、と口々に言いながら去っていく彼女たちの肩越しに、拗ねたような表情の石川くんと目が合った。
途端、ブルリと震えたスマホ。
石川くんからの受信したメッセージには、図書室、とだけ書かれていた。
そっとひとり席を立って、教室を出た。
ちょっと、トイレ行く、と言いながら、石川くんが立ち上がった気配を感じながら、教室の戸を閉めた。
図書室に入るなり、ぐんと手を引かれて、抱きしめられた。
「い、しかわくん、ちょっと、だめだって」
「誰もいないよ。ていうか、ふたりの時は祐希って呼ぶって言ってたじゃん」
「…なんか…拗ねてる？」
「……内緒にしようって言ったのは俺なのに…嫉妬とか独占欲とかで実は内心ぐっちゃぐちゃ」
見上げて、目があうと、彼は、ごめん、と一言呟いて、かぶりつくように私の唇を奪った。
予鈴が鳴るまであと３分。
ふたりきりの図書室で言葉も無く、ただ互いに甘え合うよう唇を重ねていた。
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ユイ(プロフ) - 初めまして、読んでいくうちに続きが読みたくなりました。新しいHPを教えてください。 (10月19日 21時) (
レス) id: 30678c49ef (このIDを非表示/違反報告)
Yuri(プロフ) - はじめまして。以前から読ませてもらって、また最初から読み直しました。新しいホームページは消してしまったのでしょうか？？ (2018年6月30日 20時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 初めてコメントします。この作品ずっと読んでます。宜しければ新しいHPを教えてください（ ; ; ） (2017年6月20日 9時) (レス) id: 43856cab70 (このIDを非表示/違反報告)
yukim8216(プロフ) - こんにちは。新しいHP教えて頂けますでしょうか？『ナノ』でそこからトップページからログインしてからどうすれば見れるのか分からなくて。前はそのHPで見てのてすが。ごんなさい、教えて頂けますでしょうか (2017年5月6日 7時) (レス) id: 343ef2b4f0 (このIDを非表示/違反報告)
RON(プロフ) - nattuさん» ありがとうございます。新しいＨＰで加筆修正したお話をアップしています。ぜひお越しください^_^ (2017年3月10日 14時) (レス) id: bdef7d3ec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RON | 作成日時：2016年7月27日 22時
