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Answer ページ33

「だから、さ、俺と内緒の恋をしてくれませんか?」
「内緒の恋?」

不思議そうに繰り返したAの目からポロリと涙がこぼれた。

「え?嫌だった?あれ、どうした?どうしよう!」
「ちが、ごめん。違うの。振られるんじゃないかって…大事な話なんて言うから…」

拍子抜けして、涙出ちゃった、と指先で涙の粒を拭ったA。

「…そんなの、無理だよ。俺にAを振るなんて、絶対無理」
「ん、安心しました。…実は私もね、どうしたらずっと祐希くんと一緒にいれるだろうって考えていたから…」
「今よりもっと寂しい思いをさせると思うけど…」
「うん。でも、どんなに辛くても、祐希くんが私を必要としてくれる限り、絶対にこの手を離さないって決めたから」

俺の指先をAがぎゅっと握って。
彼女の指が暖かくて、自分の指先が冷えていたことに今更ながら気が付いた。

「いつか、もっと俺がバレーで成功して、どんなものからでもAのことを守れるくらいに成長するから、それまで待ってて」
「…うん」
「それと、どんな形であれ、俺だってこれからもずっとAを離すつもりないからね」
「…なんか、プロポーズみたい」
「そうだよ」
「え?」
「いや、プロポーズっていうか、プロポーズの予約」

耳まで赤くなったAにつられるように自分の頰に熱が集まるのを感じる。
自分で言っておいて、恥ずかしがっているなんて、馬鹿みたいだけど。
でも、時々、タガが外れたみたいに素直に言葉が出てきて、驚くほど雄弁に彼女への思いを語るんだ。
祐希くん真っ赤、と見上げるから、あんま見んでよ、と繋いでいた手を引いて顔を見られないように腕の中に閉じ込めた。

鼻先をくすぐる柔らかい髪に唇を寄せて、まだ少し赤い耳たぶにカプッと甘噛みすると、ん、と鼻から抜けるようにAが甘い声をあげた。
つっと舌を這わせてみると、びくん、と腕の中の小さな身体が震える。
そのままふたり寝転ぶようにゴロンとソファに身体を沈めた。

その刹那、勢いよく、○○と開いた談話室の扉。

「はい、そこまでー!」
「ここはそういう場所じゃありませーん」

この声が誰か、なんて見なくてもわかる。
こんなことするのはバレー部くらい、さらにバレー部でこの時間、寮にいるのはこいつらふたりだけだ。
なんなの本当、と睨むけどふたりは平気な顔で笑って。

「内緒の恋だって協力者は必要でしょ」

ふたりの言葉にふっと心が暖まった。

さあ、内緒の恋をはじめよう。

君とはじめる内緒の恋→←方程式を紐解いて



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ユイ(プロフ) - 初めまして、読んでいくうちに続きが読みたくなりました。新しいHPを教えてください。 (10月19日 21時) (レス) id: 30678c49ef (このIDを非表示/違反報告)
Yuri(プロフ) - はじめまして。以前から読ませてもらって、また最初から読み直しました。新しいホームページは消してしまったのでしょうか?? (2018年6月30日 20時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 初めてコメントします。この作品ずっと読んでます。宜しければ新しいHPを教えてください( ; ; ) (2017年6月20日 9時) (レス) id: 43856cab70 (このIDを非表示/違反報告)
yukim8216(プロフ) - こんにちは。新しいHP教えて頂けますでしょうか?『ナノ』でそこからトップページからログインしてからどうすれば見れるのか分からなくて。前はそのHPで見てのてすが。ごんなさい、教えて頂けますでしょうか (2017年5月6日 7時) (レス) id: 343ef2b4f0 (このIDを非表示/違反報告)
RON(プロフ) - nattuさん» ありがとうございます。新しいHPで加筆修正したお話をアップしています。ぜひお越しください^_^ (2017年3月10日 14時) (レス) id: bdef7d3ec7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:RON | 作成日時:2016年7月27日 22時

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