夏前、鮮やかな夕べ ページ4
ゴールデンウイークに行われた黒鷲旗は実業団相手に３戦３敗。
３戦通して取れたセットはひとつだけ。
身体も出来ていない高校生が実業団に勝つなんて無理だとわかっているけど、それでももっと何かできたんじゃないかと思うと悔しい。
久々の負け試合を経験して、気持ちは寧ろ前へと向いた。
おかげでそのすぐ後に行われたインターハイ予選では圧倒的な力で愛知県を制した。
見据える先はもっと先でも高校最後の１年、この仲間たちと最高のバレーをしたい。
誰よりもバレーを楽しんで、勝ち続けたい。
そんな姿を見たら、Aさんも前みたいに笑ってくれるだろうか。
弾けるように笑う彼女の笑顔が好きだから。
もうすぐ夏だね、なんて、Aさんと他愛もない会話をしながらの帰り道。
玄関で偶然一緒になって嬉しくて、少し食い気味に、寮まで送る、と申し出た。
いつも一緒に帰ってるらしい女バスの子達も男バレメンバーも、それなら先に帰るね、とニヤニヤしながら生徒玄関を出て行った。
俺らも帰ろうか、と声をかけてふたりで玄関を出る。
朝から気付いていたけど、Aさんの杖が変わった。
Ｔ字タイプのシンプルなものから、二の腕まで支えてくれる少し長いタイプのやつに。
ロフストランド杖って言うの、これ、と視線に気付いた彼女が言った。
以前のものより、安定するらしい。
杖、変えたんだ、と言う彼女にどんな言葉をかければ良いのかわからずに、そっか、とだけ言って歩くたびに揺れる髪を横目に眺めていた。
こんな時、すごく微妙な雰囲気になる。
足が動かなくても関係ないなんて言ったくせに、いざAさんの杖や動きにくそうに歩く仕草を見るたびにどう接したら良いのかわからなくなる。
足の容態を聞いてもいいの？
安定性が高そうな杖に変わったのは、容態が悪くなったから？
聞いて、もっと君の気持ちを知ってその心に住み着く不安を一緒に背負っていけたらと思うのに、お互いになんとなくこんな話題を避けている気がする。
結局、今日もひとつも踏み込めないまま、寮の玄関に到着だ。
いつも通り、じゃあね、と言って背を向けると、キュッと半袖シャツの裾を引かれた。
振り返ると同時にパッと離されて。
「ごめん、何でもない」
と、Aさんは逃げるように玄関へ入って行った。
ほんの一瞬、肌と肌が触れ合ったわけでもないのに。
それだけなのにこんなに心臓を動かすなんて、やっぱり、どうあっても君は特別な人なんだ。
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ユイ(プロフ) - 初めまして、読んでいくうちに続きが読みたくなりました。新しいHPを教えてください。 (10月19日 21時) (
レス) id: 30678c49ef (このIDを非表示/違反報告)
Yuri(プロフ) - はじめまして。以前から読ませてもらって、また最初から読み直しました。新しいホームページは消してしまったのでしょうか？？ (2018年6月30日 20時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 初めてコメントします。この作品ずっと読んでます。宜しければ新しいHPを教えてください（ ; ; ） (2017年6月20日 9時) (レス) id: 43856cab70 (このIDを非表示/違反報告)
yukim8216(プロフ) - こんにちは。新しいHP教えて頂けますでしょうか？『ナノ』でそこからトップページからログインしてからどうすれば見れるのか分からなくて。前はそのHPで見てのてすが。ごんなさい、教えて頂けますでしょうか (2017年5月6日 7時) (レス) id: 343ef2b4f0 (このIDを非表示/違反報告)
RON(プロフ) - nattuさん» ありがとうございます。新しいＨＰで加筆修正したお話をアップしています。ぜひお越しください^_^ (2017年3月10日 14時) (レス) id: bdef7d3ec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RON | 作成日時：2016年7月27日 22時
