だけどまたすぐに夜が来るの ページ30
二年連続三冠という伝説を作るまでまで、あとひとつ。
今まで通りこの仲間と、なんて気持ちとは逆に周囲は過熱していく。
毎日のようにテレビや雑誌の取材を受けて、密着取材なんて言って教室での生活なんかも映されて。
バレーの質問だけならいくつでも答えるけど、好きなタイプの女性は？、彼女はいますか？、ぶっちゃけモテる？…そんな質問にはいつも曖昧に笑ったり、誤魔化したりしてインタビュアーを困らせてばかりいた。
国体が終わってからもう１ヶ月、ほとんどAとはあまり話していない。
同じクラスだから挨拶も交わすし、ほんの少しのやり取りだけど、連絡だって取り合っている。
だけど、なんだか今までとは全然違う状況に追いつくことに必死で、彼女とふたりになる時間はほとんど無かった。
地元駅の改札を出ると、もう真っ暗で。
ああ、今日もよく練習したな、なんて思いながら帰路に着く。
「祐希！」
背中に刺さった声に恐る恐る振り返ると、声の主は懐かしい中学時代のバレー部の友人。
別の高校へ進んだ彼とは、インターハイ予選で会った以来だ。
「おー、久しぶり」
「こっちは久しぶりって感じしねえよ。一昨日、ニュースで祐希の顔見たばっかりだし」
「ああ、"春高予選へ向けて"ってやつ？」
「そうそう、それ。祐希、相変わらずもじもじ喋ってたな」
「しょーがないだろ、ああいうの、苦手なんだから」
「でも、いいよなー。モテモテでしょ？いや、祐希は中学時代もモテてたけど」
「そんなこと、ないでしょ」
「あ、でも、彼女いるんだっけ？」
「うん。あれ？俺言ったっけ？」
「いや、噂で。うちの学校の女子が話してた。なんか、同じ星城で、美人で、背が高くて、足が悪いとかなんとか…」
なんで！？と聞いた声が大きく住宅街に響いて、それに反応したのかどこかの家で犬がワンワンと吠えた。
「…びびったぁ、何？急に…」
「なんで、お前の学校の子がそこまで知ってるの？」
「わかんねえよ。聞いたんじゃねえーの、星城の子とかにさ」
「……」
「…なんつーか、大変だね、有名人は」
じゃあ、俺こっちだから、と手を振った旧友に力無く手を振り返し、街灯の下、ひとりぽつんと突っ立って。
「有名人じゃねえよ、高校生だよ…普通の…」
苦し紛れのひとり言はめっきり寒くなってきた夜風に吹かれて、誰にも届く事なく消えた。
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ユイ(プロフ) - 初めまして、読んでいくうちに続きが読みたくなりました。新しいHPを教えてください。 (10月19日 21時) (
レス) id: 30678c49ef (このIDを非表示/違反報告)
Yuri(プロフ) - はじめまして。以前から読ませてもらって、また最初から読み直しました。新しいホームページは消してしまったのでしょうか？？ (2018年6月30日 20時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 初めてコメントします。この作品ずっと読んでます。宜しければ新しいHPを教えてください（ ; ; ） (2017年6月20日 9時) (レス) id: 43856cab70 (このIDを非表示/違反報告)
yukim8216(プロフ) - こんにちは。新しいHP教えて頂けますでしょうか？『ナノ』でそこからトップページからログインしてからどうすれば見れるのか分からなくて。前はそのHPで見てのてすが。ごんなさい、教えて頂けますでしょうか (2017年5月6日 7時) (レス) id: 343ef2b4f0 (このIDを非表示/違反報告)
RON(プロフ) - nattuさん» ありがとうございます。新しいＨＰで加筆修正したお話をアップしています。ぜひお越しください^_^ (2017年3月10日 14時) (レス) id: bdef7d3ec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RON | 作成日時：2016年7月27日 22時
