エスケープ ページ16
学園祭１日目は体育祭。
秋らしくなってきたけど、やっぱり日が照ると暑くて。
少し走るとじわりと汗が浮き出る。
今年は部活対抗リレーだけ。
やる気が無いわけではないんだけど、保健室で１日見学してるってAさんが言ったから、早くそこに行きたくて。
なんてことが理由なあたり、やっぱり体育祭へのやる気は低めかもしれない。
今年の部活対抗リレーは午前の競技の中盤。
「祐希、もうすぐ俺らの番」
今年もアンカーはこいつと。
バトンゾーンに立つと、歓声が沸いた。
でも、この声の中に君はいない。
渡ってきたボールをパスしながら、ゴールまであと少し。
今年は怪我しないの？、と相方に聞かれた。
「今年はしない」
と言いながら、鋭いスパイクを放った。
去年の仕返しと、Aさんとのエロハプニングに対する八つ当たりを込めたボールだったけど、さすがはリベロ。
痛ってぇ、って声は出たものの、見事な反応でレシーブされて、ちょうどゴール。
ふわりと高く浮いたボールをもう一度、今度はしっかりジャンプして打ち込んだ。
リベロの腕に当たって弾かれたボールが応援席まで飛んだ。
「祐希、やりすぎ」
苦笑いするそいつに、あとはよろしく、と言って、ユニフォームのまま走り出した。
沸き立つ歓声も、後始末も、全部押し付けるようにして、保健室まで。
早く、早く、と気持ちばかり急いでしまう。
早くAさんのところに行きたくて。
保健室からひとりぼっちで眺める空は、きっと寂しいだろうから。
息切れしてるのがカッコ悪い気がして、保健室の前で２、３回深呼吸してから、ガラリと扉を開けた。
「Aさん」
「え、あれ？石川くん？なんで？」
「あー、えっと、貧血？」
「え？大丈夫？先生呼ぶ？」
「いや、嘘！ごめん！ただ、その、暑いから、外が…だから」
君に会いたくて、と本音を言えれば一番いいんだろうけど。
モゴモゴする俺に、彼女早く少し大人っぽく笑って、ここ、座る？、と窓側に置かれた長椅子を指差した。
「ここからね、見てたよ」
「部活対抗リレー？」
「うん。石川くん、わざと強く打ってて意地悪だなって」
さっきの表情とは違って、今度はいたずらっ子みたいな顔でAさんが笑った。
「あれは、あいつが悪いの！」
「そうなの？」
「そうだよ」
男の子ってよくわかんない、と言った彼女の表情が明るくて、嬉しくなった。
Aさんの寂しさを少しでも軽減できたなら、息を切らして走ってきて良かった。
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ユイ(プロフ) - 初めまして、読んでいくうちに続きが読みたくなりました。新しいHPを教えてください。 (10月19日 21時) (
レス) id: 30678c49ef (このIDを非表示/違反報告)
Yuri(プロフ) - はじめまして。以前から読ませてもらって、また最初から読み直しました。新しいホームページは消してしまったのでしょうか？？ (2018年6月30日 20時) (レス) id: 258a85c425 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 初めてコメントします。この作品ずっと読んでます。宜しければ新しいHPを教えてください（ ; ; ） (2017年6月20日 9時) (レス) id: 43856cab70 (このIDを非表示/違反報告)
yukim8216(プロフ) - こんにちは。新しいHP教えて頂けますでしょうか？『ナノ』でそこからトップページからログインしてからどうすれば見れるのか分からなくて。前はそのHPで見てのてすが。ごんなさい、教えて頂けますでしょうか (2017年5月6日 7時) (レス) id: 343ef2b4f0 (このIDを非表示/違反報告)
RON(プロフ) - nattuさん» ありがとうございます。新しいＨＰで加筆修正したお話をアップしています。ぜひお越しください^_^ (2017年3月10日 14時) (レス) id: bdef7d3ec7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RON | 作成日時：2016年7月27日 22時
