EPISODE27ーー問答 ページ48
「長い事会っていなかったが、
魔導書を失ったとは…私の義妹は随分軟弱になったのだな。
戦う価値も無くなってはいないだろうな?」
「えらく好戦的ですね。
私が今も団長の座に居られる理由を考えてから言ってるのですか?
それに…貴方に妹がいたとは、初耳でした。」
王都の真ん中、店通りで2人が火花を散らす。
窓ガラスが震え、人々は当然付近からにげだした。
「全く……、町人に迷惑をかけるなんて。
もう少し大人しくしてください、姉上。」
そう言って、フエゴレオンは溜息をつく。
出会った後、2人は報告を聞いたフエゴレオンからヴァーミリオン邸に移動させられたのだった。
「無自覚のうちにフィグナを甘やかすとは。
私の愚弟は良い旦那になれる。」
彼女の皮肉混じりの言葉にフエゴレオンははっとさせられ、珍しく赤面した。
一方のフィグナは嫌味のひとつでも代わりに言ってやりたかったが、目の前の彼につられてどこか気恥ずかしくなり黙ってしまった。
その場に謎の沈黙が続き、結局はフエゴレオンが「そう言えば用事があった。」とかの言葉で退出した。
「さて…。」
部屋は2人のみとなり、メレオレオナはニヤニヤしていた顔を引き締める。
「貴様が国に戻ってきてから初めて会うな。
噂で過去は聞いたが…少し、気になることがある。
まず聞くが、貴様の魔導書は迷宮中の悪魔に命の代わりに取られた。……合ってるか?」
「はい。そうですね。」
メレオレオナはフィグナの表情を窺ったが、彼女はいつもの顔を崩さなかった。
大蛇団の団長相手にそういう駆け引きは無意味か、と思い、メレオレオナは話を続ける。
「悪魔は人の欲望を利用する。
そして人にとっての利益と引き換えに何かを奪う。
ディアナは悪魔に魔導書を渡して、何を得た?
王家の魔導書の対価は何だ?」
思わず弁に熱が入りメレオレオナの身体から熱気が出る。
普通の者ならばその気迫に怖気付くが、フィグナの顔は依然変わらない。
氷のように白い顔で赤い唇だけが動く。
呆れたような溜息が白く吐き出される。
メレオレオナは勢いが削がれて目を丸くしたが、
直ぐに気がついた。
「何故、この部屋で息が白い?」
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のんた - 設定から…haetになってるよ。hateだよ。 (2020年9月16日 3時) (レス) id: 41c2d1953f (このIDを非表示/違反報告)
舞(プロフ) - グリモワールは15歳になったら貰えるんですよ? (2020年6月30日 22時) (レス) id: e826140184 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:the cbas | 作成日時:2020年4月30日 1時