双子の私はいつか死ぬ。【HxH】

銀髪の死(2)　9歳 ページ28

「夢幻」は暗殺標的に対して一回使ったことがあるけど、結果的に成功だった。
何の幻を見たかは知らないけど、口から泡を吹きながらショック死したもんね。
でも、今私が出そうとしている幻は実際に出さなくてはいけない。



「夢幻」の餌食にならなくちゃいけないのも当然私だ。



自分に対して直接使ったことはないけど…

しょうがない。



そっと肩の上に手を置き、全神経を幻を生み出すことに集中させた。

ベッドの上には目を閉じた私の遺体が横たわっている。
首筋と喉笛から血がどっと溢れていて、白いシーツを赤黒く染めている。

刀と折れた柄は私の手の中に、刀身は床に突き刺さっている。
柄とつながっている刃も少し血で濡れていたほうがいいかな。



上記のイメージを全て頭の中で30秒くらい描き…



その後に目を開けてみると、本当にイメージした通りの私の遺体が横たわっていた。



ここからが難しい。
「実現」を使わなくちゃ。

この能力は、ごく最近考えついた能力だから、試したこともないし本当にそうなる保証もどこにもない。



仕方ないけど、使わなくちゃね。

168時間もあるなら多分バレないかな。



とにかく…



「実現」だ。



再度目を閉じ、今度は私が今見ている幻が実際に他人に見えるよう、念じてみる。



もし失敗したとしても、私には分かる用仕組んである。

幻はどんなに実物に近かろうと、手で触った瞬間消えてしまう。

それが「夢幻」の弱みでもある。
五感のうち、ごまかせないのが触感だ。



暫くし、私の中のイメージが固定したのを確かめると、ゆっくりと目を開けてみた。

やはりベッドには、変わらず私の遺体がある。



幻なら消え、実物なら肌の触感がする。



そっと、自分の遺体に触れてみる。



…腕が消えない。



ていうか、体全体消えない。

本当に実現されてしまった。



これ、絶対他の人にも見えるようになってる。
触って消えないのなら、そうとしか考えられない。



…はは。

変な気分。

死んでもいない私の遺体が、目の前にある。

これ以上に気分が悪いことはない。









…キルア、これであんたともお別れだよ。



あんたは”死”なないでね。









無理やり遺体から視線を逸し、扉を見つめる。









双子の私はいつか死ぬ。

でも、今はまだその時じゃない。

私は生きてる。

この世で、柵無く生きられる。







…んじゃ、行こうかな。







最後に部屋を見渡し、私は静かに扉を閉めた。

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