You Are With Me. ２【南雲晴矢】 ページ10
「ねぇ、晴……」
ふと彼の名を呼びかけたAは、みな迄言う前に、ハッと目を見開いた。
晴矢の部屋の窓に、無数の黒い影が蠢いていたのだ。
「晴矢、外に何かいるよ……」
「だから何だよ」
「危険じゃないの？」
Aが震える声で問い返すと、晴矢はため息をつき、眼鏡を外してコトリと小机に置いた。
「不安なら、俺の近くにいろ」
Aは、晴矢の優しい声音に少し首は傾げたものの、すぐに頷いて晴矢の座るチェアの足元に体育座りで蹲った。
「……あの影は何なの？」
「知らねえ。まあ、良からぬ奴らだ。俺たちを狙ってる」
「わ、私達を？」
「正確には、お前を、だけどな」
晴矢は無表情で、しかし鋭い視線を窓の外にやった。
影はゆらり、ゆらりと動きを止めることなく、不気味な様相だ。
Aは震えた。
見知らぬ影への恐怖もあっただろう。
しかしそれ以上に、晴矢が恐ろしい秘密を持っているのではないか、という恐れが大きかった。
それと同時に、ピンと来てもいた。
晴矢が、Aを常に側に置くようになったのは、そのAを狙う"敵"に彼女を襲わせないためだったのかもしれないと。
だとすれば、晴矢は優しい人だ。
しかしAは、それが事実なら少し寂しいな、とも思った。
彼女の方は、晴矢に心を愛して欲しかったのだから。
できるのなら、自分の安全や身体ではなく、心を預けたかった。
それでも、晴矢は自らに課せられた何か____使命を全うする為に、私を欲している。
Aは晴矢の足元で静かに目を閉じた。
____まあ、今はそれでもいいか。
彼の側にいることが許されるのなら、それでいい。
そしてそのまま、怪しい夜は更けていった。
________________
ファンタジーテイストのビターなお話に仕上げてみました。
晴矢君の素直じゃない感じと、主人公の一般市民感を大切に、回りくどい関係に挑戦。
今回は少し分かりにくい表現が多かったのですが、苦味、甘味の調和はとれていたのでは、と思います。
(晴矢君の態度があまりにもひねくれていることですし笑)
設定や世界観は、ぜひご自身で、ご自由に妄想してみて下さいな。
もしかしたら、「You Are With Me.」の本編も書きたくなる…かも。
Blue Eyes【涼野風介】→←You Are With Me.【南雲晴矢】
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ルーリィ - 貴志部 凉香さん» 了解いたしました！お待ちしています。 (2016年8月26日 13時) (
レス) id: ecf6c14e53 (このIDを非表示/違反報告)
貴志部 凉香(プロフ) - ルーリィさん» 昨日確認したところ、データが消えてしまっていたようです。保存できていなかったのかもしれません＞＜ 一発書きでしたので、もう一度書き直して後日投稿させていただきます。 (2016年8月26日 12時) (レス) id: 4b9f32d985 (このIDを非表示/違反報告)
ルーリィ - 貴志部 凉香さん» やはり私が見落としているのでしょうか？パソコンから確認しても見当たりません。 (2016年8月26日 12時) (レス) id: ecf6c14e53 (このIDを非表示/違反報告)
ルーリィ - 貴志部 凉香さん» はい……何故でしょうか、見えませんね……。何ページですか？ (2016年8月24日 21時) (レス) id: ecf6c14e53 (このIDを非表示/違反報告)
貴志部 凉香(プロフ) - ルーリィさん» 風魔くんですよね、投稿されていませんか？非表示設定にはしていないはずなのですが、、、 (2016年8月24日 15時) (レス) id: 960f3bba47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：貴志部凉香 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/n0902268/
作成日時：2016年7月20日 13時
