７０〜それも人柄〜 ページ27
空に星が浮かんで、辺りの森が暗く沈んだ頃。
あせあせ。
廊下を進み、階段を上り。
あせあせ。
やっとの事で、リヴァイ兵長のいる部屋へとたどり着く。
それからコンコン、とノックを二回。
「すみません、Aです・・・。」
…
「・・・。」
・・・返事は無かった。
おかしいな、この時間はいると思ったのだけれど・・・。
確認のためにドアノブに手を掛ける。
壁と扉の隙間から一筋の光が漏れ・・・。
・・・どうやら兵長は在籍中みたいで良かった。
「・・・失礼します・・・。あの、遅れてすみません・・・書類です。」
机上の隅にそっと置き、深々と頭を下げる。
なんというか、そう。
仮にもリヴァイ班の一員で、しかも実力的には到底 怠っていて、
エレンのおまけで付いてきたと言っても過言ではない私が。
ろくに運動神経を発揮できないからこそ、こういった仕事はしっかりしなきゃ駄目なのに、
あろうことか忘れていて、急いで今日終わらせて提出する・・・。
・・・なんてミスをしてしまった私に嫌気が差す。
エレンにも手伝ってもらってしまったのだ。
また、それを兵長はどう思っているのか・・・？
そう考えると、やはり顔は上げられなかった。
さっきから兵長が無言なのも、やっぱり怒っているからかもしれない・・・。
「次からはこんな事が無いように尽くします・・・、本当に・・・。」
ごめんなさい。
その一言を告げるために吸い込んだ息は、飲み込まれてしまった。
…
…
兵長が、寝ていたんです。
「・・・、、」
・・・軽くパニック状態に陥った。
ギャップというのだろうか・・・？
頬杖を突きながら、微かに寝息を立てる姿は、
あまりに普段の「リヴァイ兵長」とはかけ離れていた。
今までは、気高くて性格が潔癖で、良い意味で神経質で厳格で冷静なイメージだったし、
実際に彼はそういった人柄だった。
睡眠というのは生命活動の中で最も無防備な状態であって、つまり・・・。
なんというか・・・兵長は寝ているイメージに全く当てはめられていなかったのかもしれない。
・・・兵長も存外人間だったという事だろうか・・・。
「・・・ぁ・・・。」
・・・そういえば・・・。
―――今更に机の上を見渡して、思い付いた。
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今日の紅茶
アップルティー
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作者名：古宇利るい | 作成日時：2015年3月4日 18時
