６０〜わかったふり〜 ページ12
かちゃり・・・。
リヴァイ兵長、続いてエレンが部屋に入る。
リ「クソでも長引いたか？」
ﾊﾝ「そんな事ないよ？快便だったけど。上への説明に手間取っちゃってさ。」
・・・入室早々のこのやり取り、やっぱり二人はなんだかんだで親しいのだろう。
ﾊﾝ「まぁエレン、とりあえずこれを見てくれ。」
トン、と置かれた一握りの包み。
中身は一本の、何の変哲もない・・・。
ｴﾚ「ティースプーン、ですか？」
ﾊﾝ「そう。エレンが出した巨人の右手が、これをつまんでた。
こんな風に、人差し指と親指の間でね。」
そう言いつつ、ハンジさんは人差し指と親指で挟むようにスプーンを持つ。
ｴﾚ「・・・え？」
ﾊﾝ「偶然挟まっていたとは、ちょっと考えにくいね。しかも、
何故か熱や圧力による変形は見られない・・・。何か思うことは無い？」
ｴﾚ「・・・あ・・・！確か、それを拾おうとして・・・。
・・・巨人化は、その直後でした。」
ﾊﾝ「・・・。・・・なるほど・・・。」
「・・・ぁ、」
・・・もしかして。
ﾊﾝ「・・・A、気付いたかな？」
「・・・はい・・・。」
・・・今回、片手だけが巨人化した現象・・・。
それが不思議だったけど、それはきっと・・・。
ﾊﾝ「・・・うん。今回 巨人化できなかった理由は・・・、そこにあるのかも。」
当のエレンは、まだ分かっていないような表情をしていた。
ﾊﾝ「『巨人を殺す』『砲弾を防ぐ』『岩を持ち上げる』
・・・いずれの状況も、巨人化する前に明確な目的があった。
恐らく自傷行為だけが引き金になってる訳ではなくて・・・、
・・・何かしらの目的が無いとダメなのかもね・・・。」
ｴﾚ「・・・確かに今回の巨人化は、砲弾を防いだ時の状況と似ています。けど・・・！
『スプーンを拾う』為に巨人になるなんて・・・、何なんだ、これは・・・、、」
ハンジさんが説明した事は、私の中で思い描いた考えとほとんど同じものだった。
もちろん、ハンジさんの方が早くに気付いていただろうけど・・・。
・・・巨人化に、こんな共通性があったなんて・・・。
ﾊﾝ「・・・私が甘かったよ・・・。人に戻る方法も考え直したい。
でも、次の壁外調査までは、陣形の全体訓練で時間が無いし・・・。」
リ「作戦が破綻しかねないような無茶はしないって事か？」
ﾊﾝ「・・・うん・・・。今の所は。」
今日の紅茶
アップルティー
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 184人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：古宇利るい | 作成日時：2015年3月4日 18時
