第19話 ページ19
城主や上の者達の扱いにより
身内で派閥が生まれていたアカトキ
八方美人と噂されていたお屋敷の主人だが
そもそもあの屋敷を建てようと考えた集団自体に
長という者は存在しない
離反した者達が皆互いを尊重し合っていた為だ
だからこそ善心と葛藤し踏み出せぬまま影に横槍突かれ
高みの見物だけして案の定崩壊してしまった
敵の敵は即ち遠い味方
その視点から軌道修正させようと口を挟んだ迄である
最初から目に見えていた
でなければこんな大掛かりなお節介する訳が無い
身内で失態したアカトキは城内で揉めに揉めて
これで暫くはタソガレドキに手を出す余裕は無くなるまい
抜け出した後の始末は早かった
印鑑の押された制札は無事に地主の元へ届き
その後間もなくお屋敷は取り壊される事になった
例の犯罪やら証言やらで逃げ場を失った当事者達
茜「まさか、既に内輪で揉めていたなんてねぇ」
ここはとある城下の大通りの端っこ
ぽつんと在する小さな小物屋
店主の茜は縁台に腰掛けて空を仰いだ
A「(まさか茜さんが印鑑を持ってたなんて……)」
合流して尊奈門が印鑑を取り出した時、
目をぱちくりさせて困惑したA
茜「何だか詳しく知らないけど、そっちも上手くいったみたいね」
A「ですね──あ、そういえば…簪は見つかりました？」
茜「そうそう、ちょっと聞いて？
妙に男前な娘っ子が見つけてくれたのよ〜！」
A「(わらしべ長者のようだな…)」
有頂天の茜に苦笑したA
何はともあれ落着して良かった
それから他愛のない話を交わして
すっかり日も暮れて
本拠地へ帰るAであった
お風呂を頂いた頃には夜も更けて
自室で寝間着でぼーっとしていた
ふと思い出すのは『白夜村』と書かれたあの書類
未だ内容を確認していない
何故アカトキの身内の屋敷にあったのだろう
男の扱いが妙に引っ掛かる
白夜村はどちらの領土だっただろうか──
A「(あれ、今回任務をくれた人って確か……)」
コンコン
部屋の戸をノックされた
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作者名：成瀬 | 作成日時：2022年7月25日 16時
