第12話 ページ12
その頃、尊奈門たちは
既に忍術学園へ到着していた
諸泉「…よし、ここまで来れば安全だ」
乱太郎「あの、きり丸とAさんは……」
しんベヱ「大丈夫なんですか…？」
眉を八の字にして、尊奈門を見上げる2人
諸泉「…大丈夫。私達が必ず此処へ連れて帰るから」
尊奈門は、Aたちが売り子をしていた場所に戻ってきた
柱下に五色米が散りばめてある
明らかにAが撒いたものだ
すぐさま内容を確認し、溜息まじりに立ち去る
無事が一番だが、彼奴を信じるしかない
──木の上からお屋敷を眺めるA
ちょうど、きり丸を攫った男達も見える
すぐに女中として働かせる事も出来るのだろうが
きり丸の暴れっぷりからして、一度落ち着かせるに違いない
何れにせよ敵陣に置かれている時点で
悪い予感しかしないのだが…
狙うは、"お屋敷の取り壊し"
偽の制札は既に用意済みなので
あとは屋敷内で印鑑を見つけ出して押印するだけ
じんじんと響くこの痛みはきっと代償だ
きり丸を巻き込んでしまった事を
Aは目を閉じて深く反省した
町での目撃者は
暴行·拉致·強制労働を証言する有力なひと押しになる
きり丸の誘拐を絶対無駄にはさせない
鉄臭い傷に適当に湿布を貼って
すぐさま頭巾で口元を覆った
A「──よし」
「行くのか」
黙って頷いた
──はて
私は今何に反応した？
こんな近距離で声がするのはおかしいと
ふと、声のした隣を見やると
呆れる尊奈門の姿が
A「──！！」
吃驚し過ぎて心臓が止まりかけ
ふらついたAを反射的に支える尊奈門
諸泉「何でそんなに驚くんだよ…」
A「待っててって言ったじゃん…!?」
諸泉「お前は一人で背負いすぎだ。これは2人の任務だろう」
A「………」
心做しか、その一言に嬉しささえ感じた
周りに迷惑を掛けまいと
昔から一人で抱え込んできたAにとっては
A「…気配消すの上手いね」
諸泉「何年やっていると思ってるんだ」
A「そうだね」
内心嬉しくて喜びが隠せず顔が綻んでしまうが
今は任務に集中
本作戦を決行した
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作者名：成瀬 | 作成日時：2022年7月25日 16時
