キミとの出会い。 ページ3
キミと初めて会ったのは
私とキミが6歳の時だ。
共働きで休日もあまり家にいる事のない両親が
珍しく二人とも家に居た日曜日。
私は嬉しくて父に絵本を読んでとせがんだのを
よく覚えている。
『お父さんこの絵本読んで！』
「A、本はな、人に読んでもらうのは
とても楽な事だ。でも、自分で読んだら
自分の言葉で理解するからいろんな考えや想像が
膨らんで本を楽しむ事ができるぞ。
自分で読んだ方がいいと思うだろ？」
そんなもっともらしい事を父に言われて
幼い私は、そうなのかと思い
もう何十回も読んだ事のある絵本を
結局一人で読んだ。
そんな風に私は絵本を読み漁って
だんだん飽きて来てボーっとしていると
さっきまでパソコンとにらめっこしていた父と
キッチンで柄にも無く料理していた母が
ソワソワと落ち着きなく玄関の穴を除いたり
ベランダに出たりしている。
私は何かあるのかと二人を観察していると
母が握りしめていた携帯に電話が来た。
母は凄く電話に出てベランダから
慌てて戻って来たと思ったら
父に着いたってとどこか浮かれた声で言って
二人はあっという間に家を出て行った。
私は質問する暇もなく居なくなった二人が
どこに行ったのか気になり
外に出たてあろう二人を見つけるために
さっきまで母がいたベランダに出て
柵のとこに椅子を持っていき下を覗いた。
すると、ちょうど母と父が
マンションの入り口から出て来たところで
父は大きく手を振っている。
私は父が手を振る方向に目を向けると
そこには、一台の車とそこから出て来たであろう
男の人と女の人と小さい子供がいた。
どうやら、父と母はこの人達が
来るのを待ってたみたいだ。
ベランダから下の様子をボーと見ていると
マンションに入ろうとしているのが見えたので
私は急いで椅子を戻して
元いた場所で絵本を開いて玄関に
意識を集中していると
数分するかしないかで
賑やかな声と共に扉のロック音が聞こえた。
私は、開いた絵本を閉じて
リビングの扉を開けて玄関の方に顔だけ出すと
さっき下で見た人達と母と父
そして何故か、私の父親に抱っこされている
男の子がいた。
そう。これがキミで。
この瞬間にキミのことを嫌いだと思った。
これは多分だだの嫉妬心。
父にしてほしいことを
私じゃなくキミにしてたから…
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作者名：ジウォル | 作成日時：2018年1月24日 23時
