8人目はふわふわ王子 (ページ15)

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中へ戻る時に

ピピッっと小さな音が鳴った

何だこれ

足元に置かれた小さな機械

下に降り

「雅也さん、中に入る時、下から小さい音なってたんすけど‥ 」

雅「ああ、あれは俺ら店員側がお客さん来た時にわかる様に音が鳴るんだ。」

へえ、便利な物が有るもんやな

「それで僕の仕事って？酒作るとかですか？」

雅「ああ、酒を作ったりかな。あそこにピアノがあるだろ？辞めちゃった子がよくお客さんからのリクエストでピアノを弾いていたんだ。だから、ピアノとか弾けるなら、お願いしたいんだけど」

説明する雅也さんの指先に視線を向けると

スポットライトを当てられているかのように

明るめの照明がピアノを照らしていた。

「ピアノは ‥ 出来ない。歌なら、少しだけ」

雅「歌か、良いな。なら、接客と歌、頼めるか？」

「 ‥ 接客、嫌。」

雅「ん～、じゃあ、慣れるまで歌だけな。慣れて来たら、接客も手伝ってもらうからな？」

「 ‥ 慣れたら。あと、この照明なんとかならない？僕の姿、できるだけ見られたくないんだけど。」

そう、一番の問題はここだ

照明が明る過ぎる。

雅也さんはパーカー着てフード被って歌っても

構わないと言ったけど、

そんな事したら、余計目立ちそうで‥

出来るだけ空気でいたい

なんか流れてるなあ、くらいの歌でいい

雅也さんに昔この見た目のせいで

イジメられていた事を軽く話した

少し考えたあとに

雅「わかった、出来るだけ暗くする」

と許可をくれたので一先ず安心だ

「歌、頑張る。」

幾多ものパーツが噛み合って

回り出した歯車は

何を動かすのだろうか____________