６.野性 ページ6
「ごめんなぁ、がっくんが居留守使ってると思ってたから。」
電気ついてるのに出てこないんよ〜キレるやろ〜
と平然とした表情で恐ろしい言葉を続けるお姉さん。
居留守程度であんなにヤのつく反社みたいになるのか…。
結論
俺はお姉さんを中に入れてしまいました。
あの後、
ぴんぽぴんぽぴんぽんと鳴らされ続けるチャイムと
ひしゃげそうなほどの勢いで叩かれ続ける玄関扉、
そしてガクさんを呼ぶ大きな声に負けた。
近所迷惑、そして神社でバチ当たりなことだ。
「いやぁ、こんなかわいい子家に連れ込んでるとは、がっくんも隅に置けんなぁ！」
笑いながらぐびり、と湯呑を傾けるお姉さん。
今、俺は居間で、お姉さんとちゃぶ台を挟んで向かい合っている。
出させていただいたのは、緑茶だ。
湯呑にカフェオレとかホットミルクを注ぐ気にはなれなかった。
消されそうだから。
彼女を少女などと形容していたことを大変後悔している。
目の前にしてみると、圧というか威厳がものすごい。
同じ美人の笑顔でも、
刀也くんやガクさんと、このお姉さんじゃあワケが違う。
お姉さんの笑顔は、花では形容できない。
大きく口を開けたライオンのような野性的な笑顔だ。
「わたしな、樋口楓。
君の名前は？」
ライオンを前にした小動物のように震えつつ、
固まってしまった口を必死に開く。
「俺は、A、です。
…よろしくお願いします。」
「兎みたいやなぁ。」
みとちゃんとは違うタイプの兎やけどな。
ひとりごとのように呟き、
ニコニコと俺を見つめるお姉さん。
これで動物に例えられるのは３回目だ。
子犬、子猫、兎。
…弱そう。
「でろーんさん、て呼んでくれていいんよ？
いや、楓さん、でもいいなぁ。」
「じゃあ、楓お姉さん、と呼ばせていただきます…」
でろーん
でろーんさん。
聞き覚えがある。
ーーーでろーんセンパイが、
客が来た時のために食事処を調べておけ、
って言ってたんすよ。
ガクさんの言葉がフラッシュバックする。
ーーー僕たちの先輩ですよ。
もし出会ってしまったら、絶対に失礼のないようにしてください。絶対に。
刀也くんの、やけに真剣な表情が頭をよぎる。
「もしかして、クリームソーダが好きな…」
「おお、よく知っとるやん。
クリームソーダが好きな、楓おねえさんですよ〜」
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まつくぐり(プロフ) - hikaさん» コメントありがとうございます。応援を糧に、無理せず更新頑張ります！ (2023年4月10日 17時) (
レス) id: de127923cd (このIDを非表示/違反報告)
hika(プロフ) - コメント失礼します…!!私は1番か、2番がいいです！けどやっぱり大事なのは主様なので、無理はしないで下さいね!!これからも頑張って下さい✨ (2023年4月10日 13時) (レス) @page38 id: 41773f4ad4 (このIDを非表示/違反報告)
まつくぐり(プロフ) - ものさん» コメントありがとうございます！ (2023年4月9日 22時) (レス) id: 2357e3fc93 (このIDを非表示/違反報告)
まつくぐり(プロフ) - 寝る子は育たなかった（ねるか）さん» 素敵なコメントありがとうございます。更新頑張ります！ (2023年4月9日 22時) (レス) id: 2357e3fc93 (このIDを非表示/違反報告)
まつくぐり(プロフ) - 美也さん» コメントありがとうございます！お言葉とお気遣い、本当に嬉しいです。更新頑張ります。 (2023年4月9日 22時) (レス) id: 2357e3fc93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まつくぐり | 作成日時：2023年1月19日 21時
