読み切り、横尾さん

お姫様だっこ ページ27

テレビ雑誌の撮影で今日はタキシード。
しかも君とのコンビ撮影。

「じゃあ、いつも通りお願いします 笑」

ってスタッフさんにも言われた。

「わた♡」

そう言って君の側にすり寄っていく。

「タキシード、めちゃ似合うね！」

って言ったら

「太輔こそ、めちゃかっこいい」

ってちょっと顔を赤らめて。

あぁ可愛いなぁ。

「じゃあ、横尾さん後ろから藤ヶ谷さんを抱きしめて下さい 笑」

あ、なんかいつもと逆。君はワタワタしている。

「じゃあ……ごめんね？」

謝る意味はわからないけどいつもと違うポジションにドキドキする。

遠慮がちに髪に添えられた右手。相変わらず綺麗な指。

「せっかくカッコ良くセットされてる髪の毛を崩したくないかな」

って。

その気遣いいらないから。もういつもそう。自分よりも相手の事考えてさ。


「じゃあ、横尾さん、藤ヶ谷さんをお姫様だっこしてください」

「え？」「え？」

いつも俺がお姫様だっこしてるから、君にしてもらえるなんて。。ヤバい、取材なのに自然とにやける。

「……できるかな……」

って心配そう。

「よし!」

って言って

「いくよ!」

って言って俺の身体に腕を回した。

自然と俺も君の首に腕を回す。

「ひくし！」

え？ひくし？？

変な声を出しながらきつそうな顔で俺を持ち上げる。

うん、抱き上げるじゃなくて完全に持ち上げてる 笑

「あ、良いですね。こっち向いてください！」

「わた、重くてごめんね」

「ううん、いつもやってもらってたし……1回やって見たかった」

って小声で言われた。

「じゃあ、今夜は俺がするね♡」

「ば、ばきゃ………」

慌てる君が本当に可愛い。

俺が抱き上げる時のあの可愛い表情は俺だけのもの。

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