side:fk ページ7
ﾋﾟﾙﾙｯ
その時、翔太のパンツのポケットに突っ込まれてたスマホが画面を点灯させて着信音を奏でた
噂をすれば何とやら‥‥か？
nb「涼太だ‥‥」
不安そうな表情に変わる翔太
俺はぽんと翔太の肩に手を置いた
fk「面倒臭くなるようなら俺の名前使え。じゃあな」
そう言って翔太の返事を待たずに歩き出すと
nb「ふっか！」
背中越しに翔太が俺を呼ぶからつい振り返ってしまった
nb「ありがとう」
不安な色はその表情からは消えてないけど、幾分か翔太の顔はスッキリして見えた
fk「おうっ！頑張れよ」
満面の笑でそう言ったつもりなんだけど
翔太にはどう映ったのかな
(頑張れ翔太！)
上手くいって欲しい
心底思ってる
その思いの一部には俺の私情も入ってんだけどさ
だって、2人に上手くいって貰わないと、高校生だった頃の俺が浮かばれないだろ‥‥
nb「もしもし、涼太？」
少し遠くに聞こえた翔太の声を確認して、俺は公園を出たタイミングで自分のスマホを取り出し慣れた手つきである人物のアドレスを開いてタップした
たぶんこの時間ならきっと自宅に居るだろう
こんな時はアイツを呼び出すのが1番なんだ
最低な事してるって分かってるよ
でもアイツも都合の良い男でいてくれるんだ
それでも良いって言ってくれるんだ
そんな風にさ、甘やかされたら求めずにはいられなくなるの
たぶんアイツは知ってる
知っててこんな不安定な関係続けてるのは
俺もアイツもお互いに依存してるから
お互い不毛な想いを抱えてて、決して実ることの無い想いの捌け口に寂しさを埋めるためだけの関係を重ねてる
fk「もしもし照？今すぐ会いに来て」
滑稽だな、まったくさ‥‥
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作者名：shiro | 作成日時：2022年4月29日 18時
