ノスタルジア 3 (ページ40)

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『時間が欲しい』と1度は断ったのに、翔太は引き下がる事なく1度離れた手を掴み直して

真っ直ぐに俺に向かって言い放った

今も好きだと‥‥

嬉しいという感情がなかったわけじゃない。ただ、それに対して素直に受け入れられるだけの余裕がなかった

わかってる

もう過ぎた事だ

なのに何故だろう

未だ残る取り切れない蟠りが、俺の心をかき乱す

dt「ありがとう、嬉しいよ‥‥。でも俺は‥‥」

nb「わぁぁー！！待った！！その先はまだ言わないで！」

翔太に慌てて言葉を遮られてびっくりした

dt「翔太？」

nb「すげぇカッコ悪ぃけど、まだ足掻かせて。
可能性がゼロじゃないなら、頑張りたい。あん時の涼太みたいにさ‥‥」

そう言って笑うんだけど、鼻の頭を掻く翔太の指先が震えてるように見えた

dt「わかった‥‥」

翔太の指先を敢えて見ずに、そう伝えると

明らかに安堵した表情をした

nb「よかった‥‥」

本当に良かったと思ってるのかな？

俺がいつまでも答えを出せないままだったら？

そしたら苦しむのは翔太のほうだ

それならいっそ俺の事なんか忘れてしまえばいいのに‥‥

そう思ってみても、口に出せない自分にやるせなさと憤りを感じた

俺はどうしたいんだよ‥‥

あの日の記憶が呪縛のように俺に纏わりつく

思い出したいような思い出したくないような

大切で、捨ててしまいたくなる記憶

どうにも感情が定まらなくて、酷く息苦しかった

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