ノスタルジア 3 (ページ23)

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kj「俺、この前兄貴の結婚式に出席するために実家帰ったんやけど

そこで、いっちばん会いたく無い人におうてもうて‥‥

まぁ、兄貴の親友やから出席するとは思っとったけど

その人な、なーんにも無かったみたいに俺に『よぉ康二、久しぶりやな！元気やったか？』って、普通に話しかけてきてん‥‥

なんかそれが、過去の出来事ぜーんぶを無かった事にされたみたいでなぁ‥‥
悲しいより虚しさのが勝ってて、俺なんでこんな人の事いつまでも引きずってたんやろなぁって」

トロンとした目に加えて口調まで少し呂律が回ってない

mm「引きずってたって、その人と何かあったの？」

もしかしたらって不安も過ぎったけど、それでも知りたかった

kj「昔、その人と付き合うててん‥‥。」

俺の勘が見事に的中した。けど何とも言えない喪失感が押し寄せてきて言葉を失った

kj「初めて出会ったんは俺が小学生で、その人は高校生やった。俺、その頃にはもう自分のセクシャリティは自覚しとったから、その人の事恋愛対象として見始めたんも、そう時間はかからんくて

でも兄貴の親友やったし、俺の事はきっと弟ぐらいにしか思っとらんて感じてたし‥‥。

やから、気持ちはひた隠ししたまま、俺が中学生になって向こうが大学生になるとパタリとうちにも遊びに来んくなった

そんで俺の恋は幕を閉じたっちゅー訳になるんやけど

不思議な縁でさ、俺が高校生になってその人の事も忘れかけてた頃に、臨時教諭でその人が俺の学校に来たんよ」

康二くんは大きくため息をついた

まだ完全に精算しきれてない想いがあるような、少し悲しい目をしていた