ノスタルジア 3 (ページ22)

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mm「早く早く！ベッド入って布団をかける！」

康二くんをベッドに押し付け、勢いそのままに足元にあった薄手の掛け布団で康二くんをすっぽりと包んだ

kj「わぁー！ちょお待ってやめめ！！」

布団の中からもがきながら顔を出した康二くん

kj「電話さして！」

リビングのソファに腰掛けて、寝室から聞こえる康二くんの声に耳を傾けた

kj「はい、はい‥‥ほんまにすんませんした」

電話の相手はどうやら本店の河合さんのようだ

電話の会話を盗み聞きするのは良くないんだけど
どうやら康二くんは本店に行くのをやめてくれたみたいでホッと胸を撫で下ろした

そこへ電話を終えた康二くんがやって来た

kj「事情話したら死ぬほど寝ろ言われたわ‥‥」

ソファの前にあるローテーブルに自分のスマホを置くとドカッと俺の隣に腰を下ろした

mm「全然寝てないの？」

kj「んー‥‥。寝てるんか寝とらんのか、よぉわからん。
ただ、今は1日も早く客とれるようになりたい」

康二くんはまだアシスタントで、本店では主にふっかさんの補佐をすることが多くて

2号店でふっかさんが店長として移動になった事で、たぶん康二くんも引き抜かれたんだと思う

ラウールの話では2号店でもアシスタントをしながら夜は遅くまでカットの練習をしてるらしい

で、閉店間際の舘さんの店でコーヒーを1杯だけ飲んで帰ってるそうだ

それも俺がまだラウールが舘さんの店でバイトしてる事を知らない時期の話で、今は全然来てないらしい

(会えないはずだよな‥‥)

折角ジョギングコースを変えたのにな

俺の努力は実らなかったわけだけど

急にどうして、隈まで作るほど自分を追い込んでしまったのだろう

mm「理由、聞いてもいい？」

ソファに深く座った康二くんの目は少しトロンとしていた

kj「つまらん話やで？」

一点をずっと見つめてるような、焦点の合ってないような

何処か定まらない一点をずっと見つめたまま、そう呟いた

mm「なんでも聞きたい。康二くんの話ならどんな事だって」

俺がそう言えば、ゆっくりと瞬きをした後、康二くんは口を開いた