ノスタルジア 3 (ページ42)

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先日の件で、翔太は相変わらず翔太でホッとした事を思い出して、渡された焼き菓子の箱を眺めた

あの頃好きだった翔太は、そんなとこで

素直なのか素直じゃないのか、傍からみれば面倒くさいのかもしれないけど、そうゆうとこなんだよなぁ‥‥

ぶっきらぼうなクセに優しくて

照れ屋なクセに決めるとこ決めてきたり

頑張るんだけど、堪え切れなくなったり

とにかく真っ直ぐだった

俺はそんな翔太だから惹かれたんだ‥‥

夕方のオープンまでまだ少し時間がある

ふっかも康二も今日は来ないみたいだ

ブラックボードに今夜のディナーメニューを書いて

それを店の前に立て掛けるべく、店の扉を開けた

dt「うわっ！」

いきなり目の前に飛び込んだピンクの綿毛？

いや、これは‥‥佐久間の頭頂部！

dt「佐久間！？」

sk「りょぉたぁ～」

大きな瞳が潤んで情けない声で俺の名前を呼ぶ佐久間

なんか様子がおかしい

dt「とりあえず店入って」

挨拶もそこそこに力なく突っ立っている佐久間の腕を取り、店の中へと招き入れた

いつもみんなが座るカウンター席の一席に佐久間はちょこんと腰を下ろすけど、肩を落として項垂れていた

あの飲み会以来、久しぶりに来店してきたかと思えば

いつもの底なしに明るい佐久間なんて見る影もなく

鮮やかだったピンク色の髪も、今日はどこかくすんで見えた

dt「ちょっと待ってて」

何も言葉を返さない佐久間に一言声をかけて、俺は厨房へと1度戻り、手際よくあるものを準備すると

今だ頭がずんと下がったままの佐久間の前にそっと差し出した

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