side:fk ページ5
『涼太が誰も好きにならないって言ったんだよ』
初めて聞かされた時は何の事だか分からなかったけど
翔太の表情を見て全てが繋がった
翔太はまだ、舘さんが好きなんだって‥‥
高校生の頃から薄々気にはなってたんだよね
翔太の奴隠し通せてると思ってるみたいだったけど、少なからず俺と照と阿部ちゃんは気づいてた
舘さんはあぁ見えて自分の事となると超が付くほどの鈍感で、加えて謙虚だからまさか両想いとは思ってなかったみたいだし
なんならお互い意識してるのに何にも進展させようとしない2人に痺れ切らしちゃった俺が言っちゃったんだよ
『翔太に告白しないの?』って2人きりになったタイミングで舘さんに聞いてみた
最初こそはぐらかされたけど『確信も無いこと聞かないでしょ?』って返したらあっさり観念した
そこからは素直になった舘さんと色んな話して、結果はどうあれ気持ちを伝えたいという結論が出て
卒業式の日に告白するって決断するまでに至った
その後なんだよ
何かのきっかけで歯車は噛み合わなくなった
舘さんはそれに関して何も話してはくれなくなった
だから俺1人責任感じて翔太に連絡取りまくったんだよね
だって俺は絶対あの2人は上手くいくって確信があったから
それに、
自分の目的は、本当は別にあって
俺はその目的を、その日その場所で全て完結させるつもりだったんだ‥‥
fk「それ、お前に直接言ったの?」
そう聞き返せば泣いてしまいそうに歪めた顔で首を横に振る翔太
nb「ラウールがどうやら涼太の事好きだったみたいで、告ったらしくて‥‥」
fk「あぁ‥‥」
翔太に然り、ラウールもなんとなくそんな気はしてた
ここ最近バイトが楽しいって言ってたし、土日だけの契約だったのにいつの間にか平日にもシフトいれてて、舘さんが学校のほうが心配だってボヤいてたな
1度、うちの店にラウールが来店した時それとなく聞いてみたんだ
ru「ダテさんにも言われたけど無理してないですよ!
ダテさんと仕事してると楽しくて時間忘れちゃうんです。親も帰ってくるの遅いから、1人であの家にいるよりずっと良いです!」
なーんて言われたら無理強いは出来ないよな‥‥
舘さんも同じ事言われて言いくるめられたくちか?
なんにせよ、ラウールの方が1枚も2枚も上手だったって事だけは確かだ
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作者名:shiro | 作成日時:2022年4月29日 18時