ノスタルジア 3 (ページ1)

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滑り台とブランコページ1

side:nb

『ごめん、ちょっと行ってくるね』と涼太がラウールを連れて店を出ていった

神妙な面持ちの2人に昼間の電話での様子が重なって、あまり良い話では無い事だけは掴めたけれど、これ以上は首を突っ込めない空気感に、黙って立ち上がりかけた腰を再び椅子へと戻した

mm「喧嘩でもしたんすかね？」

少し心配そうに店の出入口のほうをずっと見つめてるめめ

(ただの喧嘩なら良いけどな‥‥)

嫌な予感ほどよく当たるもので、2人が出ていってから俺は落ち着かなかった

胸がざわざわする

2人がどんな話をしてるのか気になって仕方なくて、居ても立ってもいられ無くなった俺は勢いよく立ち上がった

nb「2人が心配だからちょっと様子見てくるわ！」

mm「えっ？あ、しょっぴー！」

めめには適当な事言って店を出た

(2人はどっちへ行った？)

店を出てすぐに行き詰まった

左右をキョロキョロしたって暗闇の中じゃそれらしい人物が居るかどうかも分からない

とりあえず、俺が知ってる方の道へと足を進めた

(俺、2人見つけてどうすんだろ‥‥)

勢いだけでここまで来てしまったけど、2人を見つけた後の事なんて全くのノープランだ

でもここまで来た以上引けない思いもあって、なんとなく足が向く方向へと歩いた

50mほど先に小さな公園があるのを見つけた

俺は吸い寄せられるように公園へと歩みを進めた

公園の出入口付近からぼんやりと人影がふたつ、ベンチに並んで座っている

少し離れた所からでも、すぐにそれが涼太とラウールだと分かった

それと同時に近くにあった木の影へと身を隠した

なんか、2人を纏う空気がそこだけ違うようで、軽々しく2人の元へと行けるような雰囲気ではなくて

本当はこんな事したくは無かったけど、木の後ろに隠れ、息を潜めて2人の会話に聞き耳を立ててみた

ru「でも、キスした事は謝りません。昼間言った事は全部僕の本音だから。ダテさんが好きだから、キスしました。」

思わず声が出そうになって咄嗟に手で口を押えた

徐々に心臓の鼓動が速くなっていくのを感じた

(嘘だ‥‥嘘だ‥‥)

押えた手から荒くなった呼吸が漏れ出す

ラウールの声ではっきりとそう聞こえたのに

俺はその言葉を受け止めるだけの脳内キャパに余裕なんてなくて、ただただ、夢なら覚めて欲しいと願っていた