ノスタルジア 2 (ページ10)

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nb「涼太…ごめん。仕事の邪魔になるから、俺一旦帰るわ…」

申し訳なさが顔に出てしまってる翔太を無下に出来るわけがない

dt「そんな、来てくれて嬉しいよ。
今コーヒーでも淹れるから座って待ってて」

そう言えば、翔太は嬉しそうな、ホッとしたような表情を見せた

本人は無意識なのか普通にしているつもりなのか

それにしたって分かりやすい表情の変化に吹き出してしまいそうになって必死で堪えた

dt「お待たせしました」

カウンター席に翔太を通して、俺は1杯のコーヒーを目の前に置いた

コーヒーの豆は自分好みのものをブレンドして挽いている

nb「いただきます」

翔太がゆっくりカップに口をつける

1口コーヒーを啜ると、目を見開き『うわぁっ』って言った

子供の頃から変わらない、翔太が美味いものを口にした時のファーストリアクションだ

dt「うち、女性客が多いからコーヒーも女性むけに苦味と酸味を抑えたマイルドな風味の豆を使ってて
きっと翔太も好きな味かなって思ったんだ」

nb「うん、俺これ好き」

dt「そっか、良かった…

はい、ラウールはカフェオレにしたから」

ru「やったー！ありがとうございます！」

翔太の隣に座るラウールの前には翔太に出したコーヒーと同じもので、半量ミルクで割ったカフェオレにして出した

ラウールはまだブラックが飲めないって言ってたからね

dt「ラウールも早くブラックの美味しさがわかると良いね？」

少しラウールをからかってみると、マグカップを口に当てたままぷくっと頬を膨らませた

ru「どうせお子様ですよ！
でも俺、ダテさんの淹れるカフェオレ好きなんで、ブラックの美味さ知らなくても全然平気！」

無邪気に笑顔で返すラウールの言葉に、逆にしてやられてしまった俺

初めてうちに来た時は全然喋らない子で心配にはなったけど、仕事は一生懸命やってくれてたから

色々と手を掛けてやったら俺や仕事にも慣れてくれて

今じゃ冗談や面白がってからかってきたり、随分と俺にも懐いてくれてるみたいで嬉しい