ノスタルジア 2 (ページ43)

今日:14 hit、昨日:58 hit、合計:181,809 hit

side:dt ページ43

dt「あ、飲み物取って来るね」

翔太の隣に座りかけ、先に出してたお冷のグラスが空になってる事に気づいて立ち上がった

nb「いい！俺がやるから涼太は座ってろ」

翔太に肩を掴まれ、そのまま押されるような形で椅子に座らされた

反対に翔太が立ち上がって、カウンター裏に回ると作業台の上に置きっぱなしだった水の入ったピッチャーを手に取った

nb「ほい、これは涼太の分な？カッコよく挽きたての豆でコーヒーでもいれてやりたいとこだけど、断然涼太の淹れたコーヒーのが美味いから水で我慢しとけ」

dt「ありがとう翔太」

カウンターには2つ並んだグラスと、ニカッと笑う翔太の少年のような笑顔

ぶっきらぼうで、雑だけど優しい

堪らなく好きだと感じてしまう‥‥

もうこれ以上は隠し通せないかも知れない‥‥

mm「こんばんは‥‥」

聞き覚えのある声がして、店の出入口のほうへと振り返ると、そこには黒のジャージに身を包んだ目黒の姿があった

目黒は夜、時々この近辺をジョギングしているらしい

体作りも兼ねた、康二の出待ちを狙っての事だと本人は言っていた

まだ成功はしてないみたいだけど‥‥

でも、目黒のどこまでも真っ直ぐな気持ちと行動には感心する。ただ純粋に康二に会いたいだけという想いでここまで出来るなんて、若さだけじゃないような気もする

だからさ、そろそろ観念すればいいと思うんだよ

康二だって、少なからず目黒の事を‥‥

mm「舘さん、すいません閉店間際に来てしまって‥‥」

目黒はそう言いながら店内に入ってくると、俺の隣に座る翔太の姿を見つけて一瞬驚いた

mm「翔太くん、も来てたんだ‥‥」

その言い方がどこか気まずそうに聞こえて首を傾げて質問した

dt「目黒、何か用事があった？」

mm「用事っつーか、こいつ、店先の道ばたで突っ立ってるとこ見つけたんで連れてきました」

目黒は後ろに隠れてる人物に『ほら、来いよ』と言って腕を引っ張り連れてきた

dt「ラウ、ル‥‥」

昼間の一件があったからか、ラウールは肩を落として目黒に促されるまま店内に入ってきたけど、俯いたまま何も話そうとしない

それ以前に、ラウールがまだ制服姿だったことに俺は驚いて

dt「ラウール、家に帰って無かったのか？」

昼間店に来た時から一体何時間、外をほっつき歩いていたのだろう