ノスタルジア 2 (ページ37)

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それは誰の為… ページ37

ビル街の歩道のど真ん中で、俺は規則正しく鳴り続ける機械音を聴きながら呆然と立ち尽くしていた

今さっきまでスマホ越しに聞こえてきた出来事が理解出来ず、未だスマホを耳に当てたまま身動きが取れずにいる

nb「どうなってんの…？」

最後に聞こえた涼太のラウールを呼ぶ声

呼ぶと言うには口調が荒っぽかった

いつも穏やかでゆったりとした口調で話す涼太があんなに声を荒らげてるとこ、過去の記憶にも殆ど無かった

第一、荒らげた相手がよりにもよってラウールだなんて

一体2人の間に何があったというんだろう…

なんか嫌な予感がして仕方がない

とりあえず、今日は仕事が終われば帰れるし、涼太の店に行くと伝えてあるから、それとなく聞いてみようと思った

予定してた時間より少し早く営業回りも終わり、上司に電話を1本いれた

『じゃあ、そのまま直帰でいいよ』

そう言われる事は予想してたから『お疲れ様でした』と一言付け足し電話を切れば、目の前の最寄り駅前の改札を抜けた

1度自宅に戻っても十分間に合う時間だった

俺は窮屈なビジネススーツから私服に着替えるべく、いつもの駅で降りた

だいぶ暖かくなったとはいえ日が暮れるとまだ寒い

Tシャツの上から薄手のジャケットを羽織り、サコッシュに貴重品を突っ込んで玄関まで小走りする

ふと思い立ってバスルームに逆戻り

洗面台の鏡で今一度髪型のチェックをした

ふっかにカットしてもらったこの髪型はセットがしやすくて助かる

ワックスをつけ直した髪を指先で弄ってみた

これから涼太と会うんだから身だしなみはきちんとしたいじゃないか

少しでも良く思われたいっていう、柄にもない事やっちゃってる俺は、傍からみたらどう見えるんだろうな…