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ru「僕は、ダテさんが好きです。」
dt「ラウ…」
言いかけて、ラウールが俺の頬に触れてきた
小刻みに震える大きなゴツゴツとした手
うちに来た時からまだまだ子供だと勝手に思っていた俺は驚いた
改めて見て触れたラウールの手は俺が思っていたよりずっとずっと男らしかったから
ru「僕、やっぱダテさんを誰にも取られたくない…」
今にも泣きそうな表情をさらに歪めて、苦しそうにそう言ったラウール
俺はそんなラウールの瞳に囚われ身動きをとるのも忘れていた
吸い込まれてしまいそうなほど綺麗なその瞳が、だんだん自分のほうへと近づいてくる
このままじゃ駄目だって分かってたのに、体は言うことを聞かなくて…
俺の唇に暖かくて柔らかいものが触れた時、弾けるように俺の体がやっと動いた
気づいた時には俺はラウールを突き飛ばしていて
目の前にいたラウールはその反動でよろけて作業台に手をかけ立っていた
dt「ご、ごめん。怪我しなかった？」
さっきのキスの理由を咎めてやりたいのに、思わず出てきた言葉はラウールを心配するようなセリフ
こんな時まで人の心配してる俺って、なんなんだろ…
ru「プリン…全部食べたんで帰ります…」
ラウールは1度も俺と目を合わすことなく、カウンター席に置いていた荷物を掴み店を出ていった
色々ありすぎて、頭の整理が追いつかない
今日のテスト何の教科だったとか…
テストの出来はどうだったとか、聞いてみようかなって思ってたのに
なんの前触れもなく突然告白をされて
不意打ちとはいえキスまでされてしまった
こんな事するってことは、言わずもがな…
つまりはそういう事で…
dt「どうすりゃいいんだよ…」
全く予想もしてなかった出来事に動揺は隠せなくて、フラッシュバックのようにラウールが見せた俺が初めて見る真剣な表情が何度も頭を過ぎる
俺が突き飛ばした時のラウールの表情が1番堪えたな…
苦しそうで辛そうで、でも泣くのを堪えてる様にも見て取れた
好きな人に拒絶されたんだ、そんな顔にもなってしまうだろう…
dt「つか、パンナコッタだし…」
あの時の自分とラウールの姿が重なって、胸が苦しくなった
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作者名：shiro | 作成日時：2022年1月9日 1時
