ノスタルジア 2 (ページ34)

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dt「今日はそれ食べたら帰って勉強だよ？
テスト、明日もあるんでしょ？」

そう言うとさっきまでご機嫌だったラウールが唇を尖らせ不満そうな顔をした

ru「はぁい…」

不満はあるけど俺を困らせる気は無いみたい

間延びした返事だったけど、そう言って再びチビチビと食べ始めた

(素直でいい子だな)

少し拗ねたラウールが可愛くて思わず手が伸びていて

ラウールのふわっとした金髪を撫でていた

ru「ダテ、さん…？」

dt「あ、そうだ。ちょっと電話してくるね」

ラウールが何か言いかけた言葉を遮るように俺は厨房へと引っ込んだ

ちょっと照れくさくなったのもあったから、翔太へ電話するのを口実に使ってしまった

厨房の作業台に置きっぱなしだった自分のスマホを手に取った

アドレスから『渡辺翔太』をタップすれば知った数字の羅列が画面に映し出されるけど、発信アイコンにタップするのを躊躇ってしまう

時間帯的に仕事中かもしれない

やっぱ退社時刻にかけ直そうかな

頭の中を天使と悪魔みたいな攻防戦が繰り広げられている

(あぁもうっ！何やってんだ俺！)

ウダウダ考えだすとキリが無くなる俺の悪い癖が顔を出しかけ、沼る前にと勢い任せで発信アイコンをタップした

1コール…

2コール…

3コール…

nb「もしもし？」

思いの外早く出てくれた翔太に驚いて、言おうと決めていた言葉が喉の奥に引っかかって一瞬言葉が出なかった

dt「あ、あぁ…、翔太？
ごめん、仕事中だったよね？」

nb「あぁ、まぁ。でも外回りだから平気。
それよりどうした？」

翔太は普段と何も変わらない落ち着いた口調で話してくれる

それがホッとした反面寂しい気もしてしまう

dt「えとぉ…、試作のデザートが出来たから、翔太に食べて貰おうって、思って…」

nb「マジ！？すげぇ食いたい！
今日はもう少し回ったら直帰出来るから、店寄っていい？」

dt「えっ！あ、うん、わかった。いつ来てくれても構わないから」

まさか、こんな直ぐに約束を取り付けられると思わなかった

でも、今日翔太に会えると思うと嬉しくて顔がにやけてしまう

nb「分かった。できるだけ早くいくわ！」

翔太の言葉にドキリと胸を打つ

きっと翔太は大した意味もなくそう言ったんだと思うけど

それでも浮かれてしまう自分がいた