憧れ ページ28
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お昼ご飯の途中なのに、ダテさんは店を飛び出して行った
たぶんそれは、しょっぴーを追いかけて…
その姿を見てめめは『おぉっ』って驚く様な顔をしながらも、ちょっと嬉しそうだった
ふっかさんは特に気にせず、綺麗に皿の上のものを空にしていた
僕は、凄く嫌な気分だった…
お会計済ませた2人が何か話してる様子が聞こえてきただけで、僕はずっとモヤモヤしてて
早くダテさんが戻ってきて欲しくて、ご飯冷めちゃうよって声をかけたらめめに注意されるし
もうなんなの？
折角のダテさんの美味しい料理が冷めちゃったら美味しさも半減しちゃうじゃないか…
ていうのは建前で、本当はしょっぴーにダテさんを取られたくなくてワザと声をかけたんだ
しょっぴーのサプライズ同窓会を開催した日から感じていた2人を纏う空気
ふっかさんたちとは少し違ってて、僕の心はざわついた
.
.
僕には父親と過ごした記憶が無くて、物心が着く頃にはすでに母親と二人暮しだったから、それがもう当たり前だと思ってて、寂しいという感覚はなかったけど
いつしか、父親というものはどんな存在なんだろうっていう、興味を抱くようになって、憧れるようになった
でもこの事はママには内緒
父親が居ないことに対して1番気にしているのはママだから
たまにだけど、お酒を飲みすぎて酔いつぶれると決まってママは僕に言うんだ
『パパが居なくてごめんね』って
でも僕は、ママが謝る理由がよくわからない
ママは僕のために懸命に働いて、決して裕福な家庭環境では無いけれど、ママが僕の事を大事に思ってくれてる事は十分伝わってる
寂しくないから、父親が恋しいとかそういう感覚が無いし、今の生活で十分幸せなんだ
ただ、ちょっとだけ…
僕に父親が居る家庭で育っていたら、どうなってたのかなっていう
タラレバみたいな考えは、たまにあるよ
結局ただの妄想になって終わってしまうんだけど…
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作者名：shiro | 作成日時：2022年1月9日 1時
