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dt「翔太…」


nb「うん?」


dt「変な事言って良い?」


nb「何だよ急に…別に、聞くけどさ」


まだ所々ピンク色した蕾が目立つ桜を見上げたまま、俺はそう返した


dt「俺、ずっと翔太の事が好きだったよ」

nb「えっ…?」



桜から涼太へと視線を移すと、涼太はすでに俺の方を真っ直ぐに見つめていた

その眼差し、ドキリと心臓が跳ねる



dt「ごめんね、やっぱびっくりしたよね」


そう言って涼太は笑ったけど、俺は笑えなかった


こんな偶然…いや、奇跡があるなんて思わなかった



nb「あ…、俺…」


言いかけて、少し視線を外したその先に、教室で阿部と佐久間を差別的にからかった奴らの姿を見つけた



一瞬、息が止まった




散々あの光景を見てきた

そのたびに阿部たちの前に立って守ってきた

それは阿部たちの姿が俺と重なって見えたから

阿部たちを守る事で自分を守ってたんだ





だけど、みんなバラバラになろうとしている今、矢面に立たされるのは涼太だ


俺だけじゃ守りきれないかも知れない




そう思ってしまったら、すごく怖くなった





nb「ご、ごめん…俺、涼太の事そんな風に思った事なくて…」


気が付くと、俺は思ってもいないことを口走っていた


dt「大丈夫、最後に伝えたかっただけだから
ありがとう、聞いてくれて」


優しい穏やかな口調は変わらないのに

耳を塞ぎたくなった


dt「あ、でも今日のカラオケには絶対来てね」

nb「う、うん…」

dt「ありがとう」


涼太はニコりと微笑んだ

その笑顔はとても優しくて、俺の大好きな笑顔のはずなのに、苦しくて直視出来なかった


その時、突然の突風が俺たちの間を吹き抜けた


dt「悪いけど、翔太先に行ってくれないかな…?」

前髪で視界を遮られていた俺に涼太がそう言った

nb「あ、うん」

前髪をかき揚げながら再度涼太の方へ目をやると

そこには悲しそうに少しだけ顔を歪めた涼太がいた





nb「ご、ごめんっ…」

涼太の顔を見た瞬間、俺も泣きそうになった

そして、逃げるように涼太の前から走り去ったんだ









あの時、俺も自分の想いを伝えていたら


先の未来はもっと違っていたのかな…









今となってはもう知り得ない


ただの過去になってしまったけど…

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作者名:shiro | 作成日時:2021年9月16日 22時

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