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いつかはバレると思ってた
めめはうちの店ではお得意様やし、モデルの仕事が軌道に乗り出してる今ではすっかりVIP扱い
だから、そんな大事な大事なお客様の頼み事をいつまでも無視出来るわけないって分かってた
辛うじて時間稼ぎぐらいにはなったけど、まだ俺の中でバレた後の事が何も決まってへんくて…
ホンマに参るわ
めめと知り合ったきっかけは、カットモデルをやってくれそうな人を探してて、街で見かけたラウールに声をかけた時、一緒に居たのがめめやった
今でこそ高校生モデルとしてファッション雑誌で名前が掲載されるようになったけど、知り合ったばかりの丁度1年ほど前はワザと顔を隠すような厚めの前髪と、どこか自信無さげに伏し目がちな目と、折角の長身を生かすこと無く肩を丸めていて
お世辞にもカッコイイとは言え無いような雰囲気やった
とは言えそん時の俺、カットモデル探しに苦戦してて9戦0敗
まぁまぁ心折れかけてて、そしたら抜群に素材のええ子がおったらダメ元でも声かけるやろ
ほんで声かけて、説明したら快く引き受けてくれたラウールはホンマにあの時天使やと思ったわ
で、カットモデルはラウールだけのつもりやったんやけど、1歩下がったとこで俺らの様子見てためめの事がどうも気になって仕方なくなって
『君もカットモデルやってくれへん?』
って気づいたら声かけとったわ
それから連絡先交換して、カットモデルの日取り決めた後ちょっと話をしたんよ
2人は高校生になったばかりで同じクラスで仲が良く、今日も買い物に来ていたという
ラウールは愛嬌があって、ちょっと弟気質で見た目に反して中身はちょっと人見知りな可愛い奴
めめも見た目に反して、自分に自信が無いと言った
確かに常にどこか遠慮がちでオドオドしとると言うか
まぁ、自信の無さが背中に出ちゃってて雰囲気で察してはおったよ
ほんでもやっぱ凄く勿体無い事してる気がしたから、いつもは後輩の立場にいる俺だけど、
10代の若者の前やからって、ちょっと先輩風吹かせたくなってしまって、
『折角ええ素材持っとんのに、磨かなもったないで!
ちょっとだけ胸張ってみ?世界が広がるで!』
なぁんて、今思い出しても恥ずかしいクッサい台詞、よう言えたもんやな俺
そんな俺の誰にも響かんようなクッサい台詞がめめには刺さってしもたんやからホンマ、何が起きるか分からんな…
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作者名:shiro | 作成日時:2021年9月16日 22時