ノスタルジア (ページ43)

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高校時代、俺と翔太が再会して幼なじみだったと教えた時から阿部は俺と翔太が通っていた幼稚園のクラスの名前の『ゆり組』で、俺と翔太を一括りで呼んでいた

阿部は俺と翔太を見る目が少々違ってて、まぁ所謂『推し』を見るようにエモいだとか尊いだとか言って騒いでて、その度に翔太は機嫌悪くなってたけど

それでも俺との距離は近くて

だから、俺は勘違いをしてしまってたんだ

翔太の単なる『優しさ』を自分だけに向ける『特別』なんだど勝手に思い込んで、勝手に好きになって

俺の身勝手に翔太を巻き込んだから、罰が当たったんだと思う

だからもう、翔太を困らすようなことは絶対にしたくない

もうあんな思い二度としたくない

俯く翔太を少し覗き込むように声をかけた

dt「翔太、大丈夫？飲みすぎた？」

nb「へっ！？あ、いや、平気…」

翔太は俺の声掛けに反応してくれるけど、一向に目を合わせようとしてくれない

kj「舘さん、俺しょっぴー送ってくよ
方向一緒やし！」

dt「そう？なら康二に任せようかな
翔太、もうこっちは大丈夫だから、康二と一緒に帰りなよ」

nb「や、本当に平気だから…」

そう言う時、やっと俺と目を合わせてくれたけど、やっぱりまだよそよそしい

さっきまで普通に話せてたのに、何が原因なのか分からなくて、だけど深く詮索しても翔太にウザがられてしまうんじゃって思うとそれ以上踏み込めなかった

10年間のブランクはなかなか厳しいものだ…

fk「舘さん、こっち終わったよー
なんか手伝うことある？」

そこへふっかと照がやって来た

dt「いやこっちも、粗方片付いたよ。ありがとうふっか。照」

fk「んじゃあ、そろそろ帰る？」

隣に立つ照に向かって小首を傾げて聞くふっか
柄にもなくあざとい事するねぇ

ru「あっ！！」

そこへパタパタと厨房内へやって来たのはラウール

大の大人の男たちが決して広くない厨房に勢揃いするととにかく狭い

そんな人口密度が高い厨房内に一際背の高いラウールがみんなの隙間を縫って向かった先は厨房の1番奥にある業務用の冷蔵庫の前

ru「舘さんたいへーん！デザート忘れてた！」

ラウールが厨房内にある業務用の冷蔵庫を開けたまま俺を呼んでそう言った