ノスタルジア (ページ42)

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『またあの頃みたいに楽しくやれたらいいな』

そう俺が言った後、翔太が少し驚いた顔をして、それでもハニカミながら『だな、またこんな風にみんなで集まってワイワイやるのも良いなぁ』と言ってくれた

まだ、翔太は気にしてるのかな…

あれはそもそもの原因は俺にあって、翔太が思い悩むことはなくて、

だから俺が平気で居れば

気にしてなければ、翔太はまた昔みたいにみんなと、俺とも元に戻れると思った

一瞬驚いた顔をしたけど、翔太がそう言ってくれた事が嬉しくて、少し饒舌になってた

翔太の表情ひとつで、気持ちが全然変わってきてしまうあたり、まだどこかで翔太の事を、俺は……

(…はぁ、やめよ…)

気づかなくていい事だと、俺は自ら『ソレ』に蓋をした

10年振りに翔太と言葉を交し、それなりに楽しい時間だった

それなのに、

ラウールに呼ばれて少し外していた間に、翔太の態度がおかしくて

でも昔から気分屋なとこあったし、あまり気にせず話しかけてみた、

dt「ごめん、照明の電球が切れかけてたみたいで」

1人で黙々と洗い物をする翔太の横に戻ると『そう…』と目も合わさずそう言われてしまった

さっきまで雰囲気良かったのに、俺が外してた僅かな時間で急に態度がよそよそしくなってしまった翔太にハテナマークしか浮かんでこない俺

知らず知らずに傷つけるような事をしてしまったのだろうか…

翔太の落ち込んだ雰囲気に、俺は声を掛けられず

しばらく無言で洗い物だけをすすめていた

kj「なんや、なんやぁ？ゆり組さんは心で会話するんですかぁ？」

そこへ俺らの重苦しい空気を払拭するかのように、弾ける笑顔で康二がやって来た

nb「なっ！？何言ってんだよ、んな事出来るわけねぇだろっ！」

翔太が食い気味に康二に反論する

kj「えー？だって、阿部ちゃんが言ってましたよ？
ゆり組は言葉を交わさなくても相手の思ってる事が分かるって！だからゆり組はエモいらしい」

そう言って『はははっ』って笑いながら俺の横に立って布巾を洗い始めた

康二の言葉に苦笑いで応える
翔太はどこか不服そうな顔で食器をすすいでいた

(阿部は相変わらずみたいだな…)