ノスタルジア (ページ40)

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dt「ふふっ…」

2人きりの厨房で終始無言だった俺と涼太

だけど急に皿を洗いながら涼太が笑い出した

nb「何だよ急に！」

dt「あ、ごめん。思い出し笑い
阿部と佐久間に開店祝いやってもらった時も佐久間がベロベロに酔っ払って、阿部が介抱してさ
佐久間が全く同じ事言ってたの思い出したら可笑しくなっちゃって…」

nb「そうなんだ…
相変わらずだな、お前ら3人は…」

dt「そうかな…？」

泡の付いたままの皿を涼太が俺に渡す

俺はそれをすすいで食器乾燥機のカゴに並べる

いつの間にかできた流れのままに涼太は淡々と話を続けた

dt「それを言ったら、そっちの3人も相変わらずでしょ？」

nb「は？俺らが？10年も音信不通だったんだぞ」

dt「だからだよ。長いこと連絡とってなかったのに、そう思えないぐらい普通だった。
ずっと会ってなかったのに、再会した途端スイッチが入ったみたいに高校の頃と同じだった。
それがまた見られるなんて…」

涼太は嬉しそうに顔を綻ばせながら次から次へと皿を洗った

dt「翔太が来てくれて嬉しかった…」

nb「えっ…」

視線は皿を見つめたまま、穏やかに笑ったままそう言った

聞き間違いかと一瞬思ったけど、涼太のその表情を見て俺まで込み上げるものがあって、思わず言葉にしてしまいそうになった

dt「まぁ、ふっかのどっきりにハマった形ではあったけど、再会出来て嬉しいよ
またあの頃みたいに楽しくやれたらいいな！」

nb「あっ…」

どうして1番有り得る状況を想定してなかったんだろう

涼太の店で働いていた女性店員は涼太の妹で、あの日街中で見かけた2人の姿も涼太の妹の買い物に付き合っていたと知らされて

俺にとっての不安要素は全てクリアされたけど

だからって、これで晴れて涼太とってなるはずないじゃないか…

10年という月日は振り返ってみればあっという間だったかもしれないけど、お互いが知らないだけで

俺の知らない10年という空白の時間は確かにそこにあって、俺の知らない出来事が沢山起こってて

そんな中で色褪せてただの思い出になったものや、忘れ去られたものだってあったはすだ

どうしてこの瞬間まで気づかなかったんだよ…

涼太の中で俺との思い出に、あの時の告白はなかった事になってたんだな…