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多分阿部は気づいてる
俺が今も涼太に特別な感情を抱いている事を
こういう勘が阿部はやたらと鋭い
そう言えば阿部も昔、俺みたいな不毛な恋をしていたっけ…
(あいつ、今はどうなんだろ…)
洗面台の前にある鏡に映る自分を見つめながら、ふと過去の阿部と今の阿部を照らし合わせる
(まさか今も…ってのはねぇよな…)
バカな考えだと改めて、俺は手を洗いトイレを出た
sk「あっ！翔太ー！！」
噂をすれば何とやらだ
ふわふわしたピンク頭を揺らして俺の元へ駆けてきた佐久間
頬や手までが髪色と同じ色に染まってやがる
酒弱そうなのに、結構飲んでたからな…
sk「しょおーたぁー！見つけたぞ！！」
そう言って両手をいっぱいに広げたかと思ったら、俺の事を思いっきりきつく抱き締めた
nb「うわっ！佐久間っ、何だよ急に！？」
sk「それはこっちの台詞だ！もう離さねぇかんな！
今日から毎日メッセージ送り付けてやる
もう絶対既読スルーとか無しだかんな！！」
卒業式の日、佐久間も阿部も俺の事心配して沢山メールを寄越した
その全てに、俺は返信をしなかった
流石にもう友達辞められたって仕方の無い事したのに
またこんな風に集まって、お節介が過ぎる事をしてくれて
nb「流石に無視は出来ないって…」
sk「んふふ〜。なら良いよぉ」
両腕をがっしりホールドされて身動きが取れない俺を、嬉しそうに見上げる佐久間
sk「しょおたぁー会いたかったぞー！！」
俺をしっかり抱き締めたまま、俺の胸板におでこをくっつけグリグリと擦り付けてきた佐久間
nb「うわっ！ちょ、やめろ佐久間！！」
酔っ払い佐久間は加減を知らないみたいで、俺が動けない事をいい事にグリグリおでこを擦り付けたり、抱き締めた状態で左右に揺らしてみたり
もうやりたい放題…
ab「ちょっとー2人とも何やってんの？」
sk「あ！阿部ちゃーん」
阿部の声に反応して振り返ると、佐久間はすぐに向きを変えて阿部にまっしぐら
俺にしたようにガッシリ両腕で阿部を捕まえた佐久間は嬉しそうに跳ねている
ab「はいはい、佐久間だいぶ酔ってんね
そろそろお開きにする？」
sk「えー、やだぁ！俺、涼太んち泊まる！！」
ab「明日は舘さん仕事だから迷惑になっちゃうよ？」
阿部が佐久間の頭をポンポンと撫でて宥めてやる
久しぶりに見る光景だった
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作者名：shiro | 作成日時：2021年9月16日 22時
