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kj「ふっかさん、なんやねんそのリアクション!!」
腹を抱えて笑いながら、関西訛りで話すニット帽の男性は、間違いなく黒縁のボストンフレームのメガネを掛けた隣の男性を『ふっか』と呼んだ
fk「あ、いや、ちょっとな…」
動揺を隠せないみたいで、彼は連れの男性にそう言う目が泳いでいた
そしてもう一度俺の姿を下から上にかけてじっくりと眺めた後、再度確かめるように『舘さん?』と呼んだ
まさか、こんな偶然があるなんて誰が予想出来ただろう
嬉しいような気恥しいような、何とも言えないソワソワした気分だった
fk「えー!舘さんフランス行ってたの!?
なんかすげぇー格好良くね?」
ふっかは10年経ってもノリが全く変わってなくて安心した
dt「フランスには居たけど、いかにもっていうフランス料理を勉強したわけじゃないんだ。先輩の店にスタッフとして呼ばれただけだし、だから日本人の舌に寄せたメニューも多かったよ」
fk「へぇー…。本場がどんなか知らねぇけど、俺はこのオムライスすげぇ好き!!」
kj「俺も!このトマトクリームのパスタめっちゃ好きですよ!」
dt「あははっ!2人共ありがとう。
実はさ、店を出すにあたって店のコンセプトに凄い悩んだんだよね。
がっつりフランス料理を出しても良かったんだけど、それじゃあ敷居高すぎて、お客さん来づらいかなーとか色々。
でも馴染みのある料理をメインにして正解だったかな!」
fk「その判断、絶対正解!
じゃなきゃ、そんな格式張った店なんて俺は一生行かないもん、あと翔太もまず行かないな…」
dt「翔太が?」
fk「そ、この店の情報くれたの翔太なんだよ
前にここでオムライス食ってメチャメチャ美味かったって言ってたから食べて見たくてさ」
dt「そう、そんな経緯があったんだ…」
ふっかから詳しく話を聞けば少し前の日曜日に、翔太はうちの店を訪れていたらしい
土日は忙しいから俺は厨房から出る事はまず無い
接客したのは俺の妹だろう
母さんだったら、もしかしたら翔太の顔を覚えてて声掛けてたかもしれないから
妹は小さい頃に何度か一緒に遊んだ事があるけど顔なんて覚えてないはずだ
(会いたかったな…)
今なら何も無かった頃のように笑って話せたのに…
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作者名:shiro | 作成日時:2021年9月16日 22時