ノスタルジア (ページ28)

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シーザーサラダ、トマトのカプレーゼ、ローストビーフと次々と美味そうな料理が運ばれてきて

俺たちは昔話もそこそこに、彩り鮮やかな料理に舌鼓を打った

fk「うっめー！！」

ローストビーフに添えられた2種類のソースはオレンジ風味とオニオンソース

どちらも抜群に美味かった

お陰でビールも進む進む

nb「この料理、全部ここのオーナーさんが作ってんだろ？
マジ天才級だな！」

そう言ってローストビーフを一口、また一口と口に運んでいると他の連中は何故か意味ありげな笑を浮かべてこっちを見ている

ab「それ本人に言ってあげたら？喜ぶと思うよ」

皆の視線が俺に集中してる中、阿部が意味深な言い方をした

nb「本人にって…まぁ、場所の提供してくれたし、ましてや貸切にまでしてくれたからなぁ、挨拶はしとかないとだよな」

恐らくはふっかの奴が仕掛けた俺へのお節介で

仲良くなったとは言えど赤の他人に対してここまでしてくれるオーナーさんの人柄には感謝しかない

後で改めて挨拶をさせてもらおうと思った矢先

ru「お待たせしましたー！
チキンソテーのバジルソースと春キャベツのクリームパスタでーす」

大皿に盛られたメインディッシュに銀のトングを添えてラウールがテーブルに料理を並べた

料理が所狭しと並べられて目を輝かせる成人男性たち

ま、俺もその中の1人なんだけどさ

コンビニの弁当やおにぎり以外で飯らしい食い物が結構久しぶりで、年甲斐もなくはしゃいでしまった

マジで独身男性の食事事情なんてこんなもんよ

ru「料理は以上になります！後はデザートがあるから後で出しますね！」

ラウールがそう言うと、奥の方から『ラウール！』

と言う聞き覚えのある声に、俺は思わず顔を上げた

(まさか、いや有り得ないだろ…)

幻聴かとも思った

だけど、たったその一言だったけど間違いなくて

自信は無かったけど確信はあった

不思議と、この声は昔、ずっと聞いていたあの声だって…

dt「ラウール、パエリア忘れてる」

奥のキッチンからカウンターへと姿を現したこの店の店主

nb「りょ、うた…」

そこに立っていたのは紛れもなく、あの日街中で見かけた涼太で

少し髪が短くなっていた

dt「いらっしゃい翔太。久し振りだね」