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2号店オープンの話をオーナーから持ちかけられたのは今から2年近く前
まだ漠然としたイメージしか出来てないんだけど、オープンしたら、そこの店長お前に任せたいんだよねって言われて腰が抜ける程驚いたのを今も鮮明に覚えている
美容学校でヘアカットやヘアメイクの勉強しながら、バイトで今のオーナーが働いてた店で2年間雑用をしてきた
オーナーが独立するタイミングで俺も引き抜かれ、本店ではシャンプーから入り、カットを任されるようになるとヘアメイクの依頼も受けるようになった
目まぐるしい毎日であっという間に1日目が終わってた
でも辛いと思った事は1度も無かった
いつかは自分も独立をと淡い夢を抱き出した頃に舞い込んだ2号店の店長就任の話
いやービビったね！
マジでこの人タチの悪い嘘ついてるよって本気で思ったもん
そしたらいつの間にか話はトントンと進んでいって
良さげな物件見つけて内見についていって店内の内装とかの打ち合わせに俺も参加したりして、やっと俺店長なんだーって実感が沸いたんだよね…
nb「すみませーん、寝かせて貰っていいですか？店長さんの話つまんないんで」
fk「おいっ！つまんないとか言うな！！
俺のこの10年間の軌跡をつまんないで片付けるな！！」
カラーリングの途中で大きな欠伸をするこの男は渡辺翔太
中高時代の同級生で昨日10年ぶりに感動の再会を果たしたはずなのに
たった1日で、もう通常運転再開かよ！？
高校の卒業式当日に、実は翔太とはちょっとしたいざこざがあって、その後ずっと音信不通だった
あの頃はもう1人の友人の宮舘涼太ってやつの引っ越しが近かったから、みんなで集まれる最後の日かもしれなくて
どうしても6人で集まりたかった
だけど翔太は当日ドタキャン
連絡しても繋がらない、メッセージ送っても既読スルー
俺キレちゃって、翔太に『もうお前なんて知らねー』なんてメッセージ送っちゃって、それを最後に連絡を絶ってしまった
その時は怒りで我を忘れてて、翔太が謝ってきても絶対許さねぇとか思ってたんだけど
舘がさ、別れ際に言ったんだ
『もし、翔太に会う事があったら、その時は翔太と普通に接してやって。今日翔太が来なかったのは、たぶん俺のせいだから』
理由は聞かないで欲しいと言って、舘は俺らに頭を下げた
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作者名：shiro | 作成日時：2021年9月16日 22時
