サクラチル ページ1
(side:nb)
桜が見頃になるにはまだ少し早い3月の上旬
陽射しは暖かいのに風が強くて、やっと桜の花びらが開き始めたばかりの桜並木の桜たちが、悪戯な風の所為で花びらを散らしていた
こんな日はつい思い出してしまう
10年前のあの日も、こんな風の強い日だった…
10年前の3月
高校の卒業式当日
その日も雲ひとつない快晴で、今まで見てきた青空で1番真っ青な空色だった
ただ、難点を1つ上げるとすると時折強い風が吹き抜けて、折角気合い入れてセットした髪型も学校に到着する頃には努力の甲斐なく見るも無惨な仕上がりになっていた
それでも式は滞りなく終わり、卒業生は再び教室へ戻ることになった
教室では名残り惜しむように、クラスメイトたちが各々写真を撮ったり、仲の良い者同士が泣きながら抱き合い別れを惜しんでいる
そんな風景を横目でチラリと眺めていると、突然背中に何かが飛びついた
fk「翔太ー！この後さ、17時にいつものカラオケ店集合な！」
クラスメイトの深澤辰哉だ
みんなは『ふっか』と呼ぶ
nb「お前さ、いっつも何の相談も無しに決めるなよ！」
fk「相談したし」
nb「どうせ照にだけだろ？」
fk「正解！」
俺の背中に体重を掛けたままニヒヒッと笑うふっか
iw「いや、俺に相談つっても粗方決まった状態で話されたけど？」
そこへ長身の少々強面な男がやって来た
コイツが岩本照
俺とふっかと照の3人は中学からの友達で、高校では3年間同じクラスという驚異の腐れ縁だ
そんな仲だから何をやるのもいつも一緒
所謂イツメン
因みに、イツメンには後3人含まれている
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作者名：shiro | 作成日時：2021年9月16日 22時
