ノスタルジア 4

_ ページ4

dt「翔太が俺に貸してくれた推理小説が映画になったんだよ。有名どころのキャストじゃないし、上映される映画館も限られてるし、レイトショー限定だから、あんまり期待は出来ないんだけど‥‥」







nb「今度、2人で出かける時の‥‥？」



予想もしてないことだったから、一瞬何のことだか分からなくて、勘ぐるように聞いてみると


涼太が照れたような表情を浮かべた




dt「うん、俺から誘った訳だし。でもデートなんての久しぶり過ぎて何がいいかも分からなくて‥‥。ド定番なんだけど、今の俺らの共通点ってこれかなって」


nb「行く！絶対、これがいい！」


dt「なら良かった。あ、フライヤー。当日までに用意しておくから」


nb「や、これでいい。」


dt「ただの紙切れだよ？裏にキャストとかあらすじ載ってるし‥‥」


nb「これでいいんだよ！内容なんて粗方覚えてるし」



dt「そう？翔太が良いならいいんだけど‥‥」



その時、涼太が言い切る前に別のテーブルから『すみませーん』と呼ぶ声がして、話はそれで終わってしまった


でも、さっきまで泣きそうなぐらい沈んでいた気持ちは、こんな紙切れ1枚で容易く治っていた



いらん心配だった



涼太はちゃんと考えてくれていた



このコピー用紙を見る限り、休憩中に調べ物ついでに探してくれたんだろう


映画館に足を運ぶ時間もメッセージ送る時間もなかったからコピーだけでもって用意してくれたのかな



忙しくて、休む時間まで割いて用意してくれたんだろうと思うと嬉しくて堪らない




(俺すげぇ単純だな)



込み上げる嬉しさを噛み締めながら涼太のくれたコピー用紙を何度も読み返した







・

_→←_

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す