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たった数秒間だけど、俺にとっては永遠にも感じられた気まずい間だった
dt「えっ‥‥とぉ‥‥何の事?」
苦しい言い逃れだった
こんなんじゃ誤魔化せやしないとは思ってたけど
nb「はぐらかすんじゃねーよ。そんなんで誤魔化せると思うなよ」
(ですよねぇ‥‥)
ゆっくり体を起こして頭を掻いた
どう説明するのがいいのかな‥‥
何言っても翔太を言いくるめられないのは、目の前で怒ってるような、泣きそうな、期待をするような、何とも表現し難い表情で俺を見つめてくる彼を見れば分かりきっていた
dt「お、起きてたなんて、気づかなかったな‥‥」
普段照れ屋で、あまり目を合わそうとしない彼が今日は珍しく、じっと俺を見つめてくる
そんな翔太の視線に思わず目を逸らすけど、俺の手首を掴む翔太の手に若干力が加わった
dt「なにこれ、この前の再放送じゃん」
張り詰めたこの状況が居たたまれなくて、俺の部屋で2人きりになったあの経緯を少し揶揄ってみた
nb「涼太。‥‥さっきの言葉、俺鵜呑みにするよ?」
まだ熱がある翔太の手は熱くて、その熱が俺に伝わる
頬が少しずつ火照っていくのを感じた
きちんとした言葉で俺から伝えたかったのに、なんでこうも間が悪いかな‥‥
nb「何も返さないって事は、そうゆう事でいいんだよな?
俺、勝手に解釈するからな!自分に都合よく解釈するからな!」
翔太の顔が少し歪んだ。涙を堪えてるように
(あぁ、そっか‥‥)
翔太が今にも泣き出しそうに苦しそうに顔を歪めたのか分かった
ずっと不安だったんだ‥‥
あの日、あんな否定にも似た俺の言葉を受けて
それでも『頑張らせて』って言った翔太だったけど
決してポジティブな感情じゃなかったんだ。本当はいつも不安で仕方なかったんだ
俺がはっきりしなかったのも含めて、翔太の中での沢山の葛藤があって
だから、そんな事言って崩れそうな自分をなんとか立たせていたのかな‥‥
dt「‥‥待たせてごめん。‥‥ずっと不安だったよね?」
そう言って空いてた右手を、俺の左手首を掴む翔太の手にそっと重ねた
その瞬間、翔太がずっと堪えていたものが、涙と一緒にこぼれ落ちた
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shiro(プロフ) - K310Yさん» コメントありがとうございます!長いお話になってしまいましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました!また機会があれば、その時はまた読んで頂けると嬉しいです(˶◜ᵕ◝˶) (8月16日 18時) (レス) id: 5d4cecac28 (このIDを非表示/違反報告)
K310Y(プロフ) - 初めてコメントします。最後まで更新お疲れ様でした。mmkjもくっついてよかったです(^^)きゅんきゅんしました!またいつか、お話読める日を楽しみにしています。 (8月15日 1時) (レス) @page49 id: e0c4ebc675 (このIDを非表示/違反報告)
shiro(プロフ) - りこさん» お読みくださりありがとうございました!更新楽しみにしてくださって、作者冥利に付きます(* 'ᵕ' )次回からは番外編としてまた書かせていただきますので、引き続きよろしくお願いします! (7月22日 20時) (レス) id: 5d4cecac28 (このIDを非表示/違反報告)
りこ(プロフ) - 本編の完結おめでとうございます!更新楽しみにしていた作品でしたので少し寂しくなりますが、番外編も楽しみにしています(*´`) ひとまずお疲れさまでした! (7月22日 5時) (レス) @page37 id: 23eff30f20 (このIDを非表示/違反報告)
shiro(プロフ) - まなさん» ここまで読んでくださりありがとうございます!はい、そのセリフは個人的に起用したかったセリフでして、まさにあの動画から抜粋したものです笑また違った角度から番外編がスタートしますので、引き続きよろしくお願いします(^_^) (7月20日 22時) (レス) id: 5d4cecac28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:shiro | 作成日時:2023年1月15日 0時