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初めは掠る程度に触れて
佐久間が完全に寝入ってしまったと分かれば、少し唇を押し付けるようにキスをした
唇が離れると、佐久間は眠りながら口をモゴモゴと動かした
ab「佐久間？」
気持ちが高揚してるからなのか、佐久間がいつ目覚めるのかというハラハラ感からくるものなのか分からない心臓の高鳴りと共に声を掛けてみるけど返事は無い
それに気を良くした俺は、もう一度触れたくて、近づきたくて、今度は規則正しく上下する佐久間の胸に手を置き顔を近づけた
俺とは違う、穏やかな心臓の鼓動
それだけで手が震えるほど緊張する
佐久間が目を覚ましてしまう前に止めなきゃって、頭ではわかってるのに、1度味わってしまった夢にまで観た甘い誘惑に、俺の本能がその先を求めて止まない
俺のこの想いは、誰にも知られる事なくいつしか消えてなくなってしまうのかな‥‥
佐久間には、一生届かないまま‥‥
今日、翔太と再会出来たことは後悔してない。寧ろ心から俺も喜んだ
全然変わってなくて、あんな事あったけどみんな何も無かったかのように普通でほっとした
たぶん、1番ほっとしたのは舘さんなんだろうけど
だからちょっとの不安が拭いきれないのも事実で、
それならいっそのこと
全てをひっくり返してみたら、何か変わるのかなって思い始めていた
sk「ぅうん‥‥」
重ねた唇をそのままに、Tシャツの裾からゆっくりと手を忍ばせたら、佐久間の喉の奥から絞り出すような声がして我に返った
sk「阿部ちゃ‥‥。えっ？なんで‥‥」
当然の反応だ。目が覚めたら目の前に、しかも超至近距離で俺がいるし、なんなら服の中に手突っ込まれてるし
鈍感な佐久間だってここまでされてたら、自分が置かれてる状況なんて嫌でも分かってしまうだろう
ab「ごめん、佐久間‥‥」
言い訳なんて出来る状況じゃないことぐらい俺も分かってた
だからなのかな。自分でも驚く程冷静だった
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作者名：shiro | 作成日時：2022年11月6日 21時
