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佐久間の手の甲を叩くように払い除けてしまった俺は一瞬頭が真っ白になって
ab「ご、ごめん！」
そして逃げ出した
今までそんな事一度だって無かった事なのに
兄弟喧嘩はあったけど、ましてや佐久間に手を上げてしまうなんて
自分でも予測してなかった行動が怖くなって、思わず駆け出していた
sk「あーべぇー！！っざけんなっ！待てコノヤロー！！」
背後から聞こえる声に振り返ると、青白い肌とくっきりと刻まれた目元の隈が相まって物凄い形相に仕上がった佐久間が俺を追いかけてきた
走りには自信があるはずだけど、体力落ちてる分遅くなってしまったのは否めない
だけと、学生時代から運動音痴に定評のあった佐久間が何かに憑依された姿は、運動神経すら変えてしまうものなんだろうか
そんな鬼気迫る佐久間に追いかけられても尚、俺は走る事を止めなかった
佐久間に、あと数センチで捕まってしまうってとこまで追いつかれ
もうダメだって腹を括った瞬間だった
真後ろでドサッと何かが倒れるような音がした
立ち止まって、恐る恐る振り返ると
そこには顔面から綺麗にスライディングを決めてしまったと思われる佐久間の姿があった
ab「佐久間ー！？」
思わず駆け寄り佐久間の身体を起こそうと肩に手を置いた、次の瞬間だった
突然伸びてきた白く細い手に自分の手首を掴まれた
ab「えっ！？」
その手が佐久間のだって一瞬分からなくてアタフタしたら、その手がぎゅっと俺の手首を締め付けた
sk「もう離してやんねーかんな！！」
伏せていた顔をぱっとあげて、おでこに擦り傷を作った佐久間がそう叫んだ
ab「えっ！？ちょっ、待って」
更に混乱した俺に、佐久間は空いていた片方の俺の手を掴みゆっくりと起き上がった
sk「絶対待たないし、もう逃げるの禁止！！」
お互い膝を付いて地面に座り込んで
佐久間は俺の両手首を痛いくらいに掴んでる
絶対に離さないって気持ちが伝わってくる
そんな風にされたらもう、拒めなかった
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作者名：shiro | 作成日時：2022年11月6日 21時
