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佐久間は声優の仕事だけじゃ食っていけなかった頃から続けてるバイトがある
こじんまりとした居酒屋なんだけど、今も時々手伝ってるって言ってたな‥‥
sk「へへっ、やっとこっち見てくれた」
俺が想像以上に廃れてしまった佐久間の姿を見て言葉を失っていると
そんな俺を見て嬉しそうに、でも笑顔に力はなくて、薄ら目を細めて笑った
俺がこんなにしちゃったのかな‥‥
ab「なんっ‥‥で‥‥」
沢山言いたい事があるのに、感情が定まらなくて
気がつけば涙が流れていた
sk「阿部ちゃん、泣かないでよ。俺大丈夫だから‥‥
‥‥って、言っても説得力ないよね？
でもさ、こんな時間だし、寝てるかもしれないから迷惑だと思ったんだけど、めちゃくちゃ会いたくなって、ここまで来てた。
会えたらいいなって思ったけど、マジで会えるなんて思わなかったわ。俺今、めっちゃ嬉しいよ！」
佐久間、気づいてる？
元々白い肌なのに、今は血色まで消えて青白くなってんの
顔もコケっちゃって、いつも見えない糸で引っ張ってんの？てぐらい上がった口角は完全に下がってるんだよ？
大きくていつも楽しそうにキラキラしてた目にはもう光さえ宿っていない
目の下に大きくできてしまった隈は、連日眠れていないのを物語っている
そんな風にさせた原因が俺なのかもしれないのに
そんな俺に会えて嬉しいなんて‥‥
何で言えんだよ‥‥
ab「ごめん、佐久間‥‥。あんな事言わなきゃ良かった‥‥」
後悔したって遅いけど、俺には謝る事しか出来なくて
sk「なんで、阿部ちゃんが謝るのさ‥‥」
ab「だって、俺があんな事言ったから、佐久間を悩ませてるんだろ？
本当にごめん！忘れていいから、会うのもこれっきりにしたほうが‥‥」
sk「絶対やだ！！俺阿部ちゃんに会えて嬉しいって言ってんじゃん！！」
ab「でも、佐久間は‥‥」
佐久間に会いたいだとか、もう一度改めて気持ちを伝えようなんて、烏滸がましい考えだった
俺の存在はもう、佐久間を苦しめるだけなんじゃないかって、思ってしまったら
佐久間に触れることさえ怖くて
sk「阿部ちゃん、ちゃんと聞いて！」
佐久間から伸びてきた腕を、俺は反射的に払ってしまっていた
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作者名：shiro | 作成日時：2022年11月6日 21時
