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俺は少しずつ、言葉を選びながら話し始めた
ab「舘さん、たぶん気づいてると思うけど
俺、佐久間がずっと好きでさ、
‥‥でも佐久間がそれを求めてないのは分かりきってた事だったし、俺も一生言うつもり無かった。
なのに、ちっぽけな欲に負けて気持ちバレちゃったと思う。
そうなったらネガティブな考えしか浮かばなくて、佐久間に引かれたかも、嫌われたかもって考えたら佐久間に会うのが怖くて‥‥」
こんなこと、舘さんに言ったら呆れられてしまうだろう
dt「だから会いたくないってメッセージ送ったの？」
そう問われて弁解できなくて、俯いたまま小さく頷いた
dt「なんで‥‥。一方的すぎるだろ。
佐久間は自分が悪いって思ってる。ちゃんと話して誤解を解かないと」
ab「そんなの、怖いよ‥‥。俺の本音言ったら、佐久間は離れてく。嫌われるのが怖くて堪んないんだ
なんで俺、あんな事‥‥」
思い出すのも苦しい。佐久間の掴んだ手を払った時のあの顔が忘れられない
ただ側にいたかっただけなのにな‥‥
欲を知ってしまったら歯止めが効かなくて、一番傷つけてはいけない人を傷つけた
臆病にもなるよ
dt「阿部‥‥。1度会って話してみたら？
受け入れてもらえなくても、ちゃんと想いを伝えておくべきだ。その時は離れてしまっても、ちゃんと戻れるから。
俺、経験者だから‥‥」
ab「経験者って‥‥？舘さん、もしかして翔太に‥‥」
舘さんの最後の言葉に一つの予測が浮かんだ。でもそれは舘さんの話を聞いたからそう感じたもので
そうじゃなかったら、俺やおそらく他のみんなだって気づいていた確信めいたものは全て、何だったんだっていうんだよ‥‥
dt「うん、卒業式の日にね、告白してる。ま、振られて、そのまま10年間音信不通だったけど」
全然、意味がわかんなかった。だって俺はずっと気づいてたんだ
舘さんも翔太も‥‥
ab「なんで！？当時から翔太だって舘さんの事‥‥」
dt「まぁ、まぁ、そこは話せば長くなるから、また改めて話すよ。それより、ちゃんと佐久間と会ってこいよ。」
舘さんははぐらかすように俺の頭をひとなでした
面白くなくて、少しムッとした顔で舘さんを見れば、何だか心許無い表情をしてる
ポーカーフェイスの奥に潜む本音が一瞬見えた気がして、文句の1つでも言ってやろうかって気も、すっかり消えてしまっていた
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作者名：shiro | 作成日時：2022年11月6日 21時
