ノスタルジア Another story (ページ14)

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あんな酷いメッセージを送ったから、もう送って来ないだろうって思ってたのに

朝からずっと、俺はいつも以上にスマホの画面を気にしていた

俺のほうから離れたのに、メッセージが来ないなら来ないで不安になるって、なんて現金なヤツなんだろ俺って

矛盾した自分の感情に呆れてたら、佐久間から一通のメッセージが送られてきて、湧き上がる感情を抑えながらメッセージを開いた

そう、結局俺自身が完全に佐久間を突き放せないんだ

自分のためにも、佐久間のためにもって思ってるけど、本音はやっぱり繋がっていたい。どんな形でも‥‥

ab「オーディ、ション‥‥」

佐久間があぁいう仕事をしてると、必ず越えないといけないものがオーディションというもの

直接制作側から声がかかることもあるらしいけど、大抵の仕事はオーディションで掴み取るらしい

俺とは全然違う世界を渡り歩く佐久間に、俺が出来ることなんてたかが知れてた

だから、毎回そんな連絡がくれば、佐久間を応援するような内容のメッセージを送っていた

いつも元気で明るい佐久間だけど、本当は引っ込み思案で人の顔色ばかりを伺うような幼少期だった

初めて出会った頃、本当に短い期間だったけど、俺の記憶の中にも薄らと、そんな佐久間の姿が残ってる

そんな佐久間を知ってるから、少しでも前向きに、リラックスして挑んでもらえたらって‥‥

でも今の俺にそんな資格があるはずもなく‥‥

1文字打って、画面を消した

真っ暗になった画面に映る俺は、本当に酷い顔をしてた

少しして、久しぶりに佐久間以外の人からメッセージが送られて来た

ab「舘さん‥‥」

電話が多い舘さんからのメッセージが珍しくて、すぐにそれをひらいた

『佐久間がきたよ』

その言葉に何を言いたいのか察した

『佐久間、凄く苦しそうだった。あんな佐久間初めて見たよ。』

続いて送られてきたメッセージに苦しくなった

自惚れてるわけじゃないけど、佐久間の今の状況は何となく想像ができた

きっと泣き腫らした目をしてるんだろう

いつもピンと上がった口角も下がって

元気が取り柄なのに、空元気すら出来なくなってるかもしれない

佐久間が元気ない時は、抱きしめて『大丈夫』と声をかけながら頭を撫でてやってた

今はもう手を差し伸べてやることが出来ない

佐久間に会いたい。だけど会わす顔がないんだ‥‥

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