side:sk ページ13
涼太の店を出て、自宅へ帰る途中に阿部ちゃんへメッセージを送った
『○日にアニメ映画のオーディションがあるんだ
俺、がんばるね』
どうして欲しいとか、そんな事まで伝えられなくて
ただ一方的に報告するだけのメッセージを送った
たぶん、返事はこない
こんなに会わずにいるのはいつぶりだろう
sk「そうだ‥‥」
阿部ちゃんが今の職場の前にいた大手銀行
大手なだけあって忙しすぎて、新卒から残業続きで
慣れない環境とまともに休みもとれない時期があって
その時は2,3ヶ月会えなかった
連絡は取ってたけど、阿部ちゃんの声が日増しに元気が無くなってて
週末にやっとまともに休みが取れたって連絡が来た時2人してスマホ越しに『やったー』なんて大声で叫んだっけ
阿部ちゃんお疲れだから、俺がご飯作りに行くって約束までしたのに
その２日後に、阿部ちゃんは過労とストレスで倒れた
連絡もらった時は、阿部ちゃんに会うまで生きた心地がしなかった
俺も仕事があったから、ご飯作りに行くって約束した日にお見舞いに行けた
何ヶ月ぶりか分からないぐらい久しぶりに見た阿部ちゃんの姿は痩せちゃってて、目元のクマも深くて
一瞬だけどゾッとするような想像をしてしまった
このまま、阿部ちゃんが俺の前から消えてしまったら
もう2度と会えなくなってしまったら
怖くて、すぐに考えるの止めた
考えたくなかったし、そんなの嫌だって
阿部ちゃんを失いたくない、会えなくなるなんて絶対嫌だ
俺のワガママだったのかもしれないけど、退院した阿部ちゃんに真っ先に転職するよう説得した
就活めちゃくちゃ頑張ってたの、俺も見てたからわかる。だけど、身体壊したら元も子も無いし、第一俺が病んでく阿部ちゃんを見ていたくないって泣きながら説得したっけ
怖かったから、本当に怖くて怖くて‥‥
俺にとって、それほど
阿部ちゃんは大切な存在だったんだな‥‥
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作者名：shiro | 作成日時：2022年11月6日 21時
