love u… （absk） ページ1
side:ab
sk「んっふふ〜。楽しいねぇ阿部ちゃん」
酔い醒ましのつもりで駅までの道のりを千鳥足の佐久間を連れて歩いた
佐久間はいつも以上にニコニコふにゃふにゃ
髪色のまんまに染め上げたほっぺをきゅっと上げて上機嫌な様子だ
ab「ほら、足元気をつけて。駅ついたらタクシー拾うから」
sk「えー電車で帰ろ？タクシーじゃすぐ着いちゃうじゃん」
ab「呂律もままならない佐久間を長く野放しに出来るわけないだろ」
sk「えー何それー？」
フワフワの綿毛みたいなピンク色した髪の毛を揺らしながら、口角の上がった唇をツンと尖らせた
そんな彼のひとつひとつの行動は、俺にとって『目に毒』なわけで
小さく咳払いをして誤魔化すと
ab「と、とにかく、送るから帰るよ」
そう言って、楽しそうに左右に揺れる佐久間の腕をとって、少しだけ歩く速度を速めた
佐久間とはもう、人生の半分以上を『親友』として過ごしてきた
見た目も、性格も、考え方だって正反対で、普通なら絶対反発し合う2人だと、傍からはよく言われた
俺もふとした瞬間に思うんだ
なんで佐久間なのかなって
でも考えても考えても、結局行き着く結論は『佐久間だから』で、具体性が無くても妙に納得というか再確認することになって
またいつもの日常に戻るんだ
ただひとつ、
『親友』として今の今まで過ごしてきたけど
俺はもう何年も前から、そんな感情ではいられなくなっていた
それを佐久間は知らないし、知らなくていいと思ってる
年齢を重ねても、変わらず純粋無垢で、俺をずっと親友だと言ってくれる彼に嘘偽りは無くて
だから、そんな彼を裏切りたくないし
そもそもがそんな簡単な話ではないと思うんだ
だから、このままで良いと思ってる
佐久間にとって親友がずっと俺なら、ずっと隠し通すつもりだ
・
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作者名：shiro | 作成日時：2022年11月6日 21時
