手を伸ばせば (ページ29)

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りさ「山田。」

「……。」

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りさ「寝る。だからお願い。
　眠るまで手を繋いだままで、いい？」

は。

なんだ…。

何を言われると、思ってたんだ？俺。

この場面で、好きって言われたらって

そしたら、なんて言い訳しようかなんて

そんなことまで、少し考えちゃってたんだ。

単純な思考能力に、ホント呆れるわ。

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「いいよ。」

そう言って、手を差し出した。

きゅっと握られる手。

人恋しさに怯える子供の手。

なんだ。まだまだガキじゃねーか。

まったく、俺何考えちゃってたんだ。

そして、その一連の流れに、

思わず空笑いを浮かべようと思った

次の瞬間、

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繋がれた手に、力が入ったのが分かった。

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りさ「山田… 山田が好き。」

「……え？」

目線を合わせた彼女の瞳は、

気持ちを纏ってとろりとしてて。

少女ではなく、ひとりの女性だった。

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りさ「だから、今だけ…そばに居させて？」

りさ「今だけだから…」

そう言うと、彼女は繋がれた手を絡ませて

俺の身体に、ピタリと寄り添った…

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